日本でもメディアを通して存在を認知され始めているアートディレクター

今回は、そんなアートディレクターについての詳細をご紹介します。

  • アートディレクターになるための情報が知りたい
  • アートディレクターの仕事内容が気になる
  • デザイナーとは何が違うのか
  • 年収はどれくらいか
  • どんなことを要求される職種なのか
  • アートディレクターに必要な知識・スキルとは何か

上記の疑問を持つ人に適した記事内容となっていますので上記に該当する人、興味がある人はぜひご一読ください。


アートディレクター(Art Director)とは

コンピューターを操作する人


アートディレクター(Art Director)とは、グラフィックデザインや広告、webサイトでユーザーの目に触れる部分の表現(ビジュアル)に関するディレクションする職種です。

要するに、ビジュアルデザインの指揮官です。


略称

アートディレクターの略称はADといいます。

聞いたことがある人の多いのではないでしょうか。


制作の場のリーダー

webサイトなどを制作する際、グラフィックデザイナーやコピーライターなど色んな人々が集まります。

その中で、ビジュアル部分の監督する役割(責任)を担うのがアートディレクターです。

アートディレクターはメンバーへ指示を出したり、デザイナー達が提出したものをチェックするのが主な仕事です。


自分を表現するアーティストではない

路上でヘッドホンを付けながらだブレットを操作する男性


「アート」と名前についているので自己表現をするアーティストと勘違いしてしまう人もいるかもしれません。

ですが、アートディレクターの仕事は上記でも紹介したとおり、「クライアントがイメージどおりの制作物を作る仕事」です。

自分の思うとおりに制作できるわけではありません。


活躍の場

ビジュアルデザインが必要な現場で、アートディレクターは活躍できます。

  • デザイン事務所
  • 企業の広告宣伝部門
  • 出版社
  • 広告代理店

上記以外にも様々な活躍の場があります。


アートディレクターとデザイナーの相違点

アメリカ人プログラマー


アートディレクターデザイナー

この項目では、具体的に両者はどう違うのかについて見ていきましょう。


デザイナーはデザインを作るのが主な仕事


デザイナーは名前から読み取れるように、デザインをするのがメインです。

アートディレクターやクライアントの指示に沿って、要望どおりのデザインを生み出します。


アートディレクターはプロジェクトの舵取りが主な仕事

ウェブデザインを考える


アートディレクターはプロジェクトの責任者としての役割を担います。

プロジェクトメンバーが、指示に沿った方向性で制作しているかを細かくチェックします。

自らデザインをすることがメインとなる職種ではありません。

アートディレクターとデザイナーの大きな違いはここにあります。


アートディレクターがグラフィックデザイナーを兼ねることもある

アートディレクターは実際にデザインをしないと書きましたが、場合によってはグラフィックデザイナーなどのデザイン業務を兼任することもあります。


アートディレクターの業務内容

ラップトップを持っている人


アートディレクターの仕事は具体的にどういった内容なのでしょうか。

この項目では、アートディレクターの業務内容を実際の流れに沿って解説します。


クライアントとの打ち合わせ

ディレクターやプランナー、営業たちと一緒にクライアントと話し合いの場を持ちます。

クライアントの要望を丁寧にヒアリングし、プロジェクトのコンセプトを煮詰めます。


プロジェクトメンバーの選定

クライアントとの打ち合わせが終わったら、プロジェクトに適したプロジェクトメンバーを選びます

デザイナーやコーダーなど、プロジェクトを成功させるために最適なメンバーを検討しましょう。


プロジェクトの方向性を決定

クライアントの意向やこちらの意向を踏まえ、プロジェクトスタッフとミーティングしながらビジュアル面の方向性を決定します。

スタッフが出してくれたアイデアを全体的に見て適切かどうかのチェックもおこないます。


コンセプト・デザインの決定

いくつかカンプ(ラフ案)を作成し、コンセプトやデザインを固めます

カンプは自分で作成する場合もありますし、デザイナーに「こういうカンプを作ってほしい」と指示を出して作成してもらう場合もあります。


クライアントへプレゼンテーション

コンセプトやデザインをクライアントに伝えます。

どういう方向性で行くか、ビジュアルコンセプトなどを具体的にプレゼンします。

クライアントからGOサインが出たら制作スタートです。


制作作業

アートディレクターとして、プロジェクトスタッフが作ったものを適宜チェックし、方向性が違うと感じたら修正指示を出します。

クオリティをチェックするのはアートディレクターの大切な役目です。

無事制作が完了したら、クライアントに制作物を納品します。

クライアントに「これで良い」と言われたらプロジェクトが完了です。

「ここはこうしてほしい」「イメージと違う」などの指摘が入った場合は、スタッフにクライアントの意向に沿う制作物となるよう修正指示を入れます。

アートディレクターの業務内容は、このような流れで進みます。


アートディレクターに求められる役割

男性 フリーランスエンジニア


アートディレクターとはどんな役割を求められるのか見ていきましょう。

  • クライアントの要望を聞き取る
  • クライアントの希望に沿ったビジュアル表現を考える
  • 企画のコンセプトをまとめ、プロジェクトメンバーに指示する
  • 納期やコストを管理する
  • プロジェクトメンバーの進捗状況を確認する
  • メンバーから納品されたものを確認しクライアントの意向を反映したものかどうかを判断・アドバイス
  • 完成した制作物を色んな角度から見てクオリティをチェックする

全体の管理を任されるアートディレクターは、このような役割を求められます。

それだけではありません。

  • プロジェクトメンバーの仕事に対する理解
  • クライアントとの交渉

無茶苦茶な指示を出すアートディレクターに人はついてきません。

プロジェクトを円滑に進めるため、アートディレクターはプロジェクトに参加しているメンバーの仕事に理解を持つ必要があります。

また、厳しすぎる要求・納期を指定してくるクライアントの場合、プロジェクトメンバーのことも考えて納期の延長をお願いしたり、代替プランなどを打診するなどの交渉するなどの役割も求められます。


アートディレクターの魅力

ビジネスコンセプトで挑戦的なキャリアのはしごを登る実業家


制作物に関して全体的な責任を負うことになるアートディレクター。

ですが、「責任が重い=辛いことばかり」というわけではありません。

アートディレクターだからこそ味わえる魅力もあります。

この項目では、アートディレクターという職種にどのような魅力があるかについてお伝えします。


好待遇

アートディレクターはデザイナーよりも重い責任を持つ仕事です。

その分、待遇はとても良いと言えるでしょう。

プロジェクトメンバーが制作したものをチェックしたりする時間帯は決まっていません(もちろん納期は厳守ですが)。

そのため、自分の裁量で労働する時間を決めることができます。

また、収入面でも他メンバーよりも優遇されることが多いです。


素晴らしい達成感を味わえる

プロジェクトの責任者として、プロジェクトを成功させるために動くのはとても大変なことです。

クライアントとメンバーとの板挟みに苦しむこともあるでしょう。

納期目前でトラブルが発生したり、制作物をクライアントからダメだしされたり。

プロジェクトメンバーからタイトすぎる納期に対する不満が起こったり。

アートディレクターはそれらのトラブルを全て乗り越え、プロジェクトをゴールまで導かなければなりません。

そんな苦労の末に完成した制作物。達成感は並大抵のものではありません


トレンドに敏感になれる

アートディレクターはクライアントと話をする機会が多い職種です。

クライアントが求めるのは業界でも最先端のトレンド。

  • いま流行っているデザインは何か
  • どういうデザインが求められているのか

アートディレクターとしてトレンドを押さえておくことはとても大切なことです。

業界のトレンドを、仕事しながら獲得できるのは大変な魅力と言えるでしょう。


クライアントの生の声を聞ける

クライアントから厳しい指摘を受けたり、突然追加の要望を伝えられたり……。

プロジェクトメンバーの中でもクライアントと接する機会が多いアートディレクターは、気苦労の絶えない職種でもあります。

ですが、クライアントと接点が多いということは「クライアントがどういうものを求めているか」を生の声で聞けるチャンスがあるということ。

そうした生の声を聞くことで、クライアントの立場になって考えることもできるようになります。

それはアートディレクターから他の職種へ転職したとしても強みとなるでしょう。

また、制作物がクライアントの役に立った時、クライアントからダイレクトに感謝の言葉を受け取ることができます。

感謝の言葉は仕事の励みとなり、これからも良いものを作ろうという活力となるでしょう。


コミュニケーションスキルを磨ける

クライアントやプロジェクトメンバー、プロジェクトに携わる様々な人とアートディレクターはコミュニケーションを取らなくてはなりません。

「あの人は細かく指示を出したほうが良い」

「あの人はふわっと伝えてもこちらのコンセプトを理解してくれる」

「このクライアントは文章で伝えたほうが反応が良い」

人によってコミュニケーションの方法をうまく変化させる技術……対応スキルが劇的にアップします。


アートディレクターに向いている人

ビジネスマン、契約


アートディレクターに向いているのは下記のタイプです。


デザインのセンスがある

デザイナーとして働くのではなくても、アートディレクターはデザインをチェックする立場の人間です。

そのため、デザインセンスがあると良いでしょう。


人とコミュニケーションを取るのが得意

人と接するのが苦手だと、クライアントやメンバーと連携するのが難しい場合があります。

コミュニケーションスキルは、アートディレクターにとって必要不可欠な要素です。


リーダーシップがある

人を引っ張れる度量がある人は、プロジェクトのビジュアル部分の責任者たるアートディレクターに向いているといえるでしょう。


チームで協力するのが好き

アートディレクターは様々な職種の人と一緒に制作を進めていく仕事。

チームで何かを達成するのが好きな人は、アートディレクターとしての素質があります。


アートディレクターに必要な知識やスキル


この項目では、アートディレクターに必要とされる知識やスキルについてご紹介します。


ディレクションスキル

ディレクターとしてのプロジェクト管理能力が必須です。


コミュニケーションスキル

色んな人とのやり取りをスムーズにおこなうスキルが必要です。


スケジュールをうまく調整するスキル

外部の人々、プロジェクトメンバーそれぞれのスケジュールを把握して円滑にプロジェクトを回すスキルが必要です。


デザイナーとしての実務経験

デザインに対する目を養うため、ある程度デザイナーとしての実務経験があるとベターです。


様々な方面の知識

自分が指揮するメンバーの仕事に関する知識を持っていることは重要です。


アートディレクターの年収


アートディレクターとして働いて5年以内の場合、年収は250~500万円程度です。

経験を積んでいくと、それよりも高い年収を得られるようになり、年収800万円程度を獲得する人も出てくるでしょう。


アートディレクターに必要な資格


アートディレクターになるために絶対必要な資格というのはありません

ですが、アートディレクターを目指すにあたって取得しておくと良い資格というのは存在します。

この項目ではアートディレクターとして活躍するために取得しておきたい資格についてご紹介します。


アドビ認定エキスパート(ACE)

PhotoshopIllustratorなどの専門知識を有している証拠となる民間資格です。


Photoshop®クリエイター能力認定試験

サーティファイが主催する資格で、2つの難易度(スタンダード・エキスパート)があります。

アートディレクターが直接デザインをすることはないかもしれません。

ですが、現場によっては自身がデザイナーとして制作する可能性もあるので持っておいて損はない資格といえるでしょう。


Illustrator®クリエイター能力認定試験

Photoshop®クリエイター能力認定試験と同じくサーティファイが主催する民間資格です。

制作の場で利用頻度の高いソフト・Illustratorについての知識・スキルを有していることの証明ができます。


アートディレクターの需要や将来性


日本におけるアートディレクターの知名度はまだまだ低いのが現状です。

しかし、最近ネット広告に力を入れる企業が多いためweb関連のアートディレクション業務の増加が見込まれます。

今後さらなる需要が見込める職種と思っておいて良いでしょう。

web業界で需要が増える可能性が高いため、web関連の知識を学んでおくことをおすすめします。


まとめ


アートディレクターに興味がある人向けに、アートディレクターのことを詳しくご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。

今回の記事では、アートディレクターについての基礎知識、年収や将来性、資質や資格など幅広く解説しました。

アートディレクターはプロジェクトメンバーの監督という立場にあります。

自らのスキルだけでは仕事を進めることができません。

たしかなディレクションスキルが必要となってきますし、簡単になれる職種とは言えないでしょう。

その半面、とてもやりがいのある仕事とも言えます。

この記事が、アートディレクターとしての道を進みたい人にとって、これからどう行動すれば良いかの道しるべとなることができれば幸いです。