「クラウド時代」に欠かせないクラウドエンジニア

ロウソク足チャート


クラウド上で提供されるサービスやクラウド上でのデータ運用が主流となるクラウド時代、一躍注目されるようになった職業がクラウドエンジニアです。

クラウド環境での作業はオンプレミスのように高額な初級費用が不要で、自社サーバーとは違ってスペックを上げられるため拡張性が高いといったメリットを生み出すことができます。

このようなメリットが注目され近年IT業界では構築、運用、保守といった作業をクラウドエンジニアに業務委託し、クラウド上で行う方法が主流になりつつあるのです。

本記事ではそんな注目の職業、クラウドエンジニアについて紹介していきます。

現在エンジニアをしている方やエンジニアの勉強をしている方はぜひ参考にしてみてください。


クラウドエンジニアの仕事内容は?

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クラウドエンジニアの仕事は「クラウド上でのシステム設計」「クラウド上でのシステム構築」「クラウド上でのシステム運用や保守」の3つに分けられます。

それぞれ具体的にどのような仕事内容なのか、以下の項目で詳しく確認していきましょう。


クラウド上でのシステム設計

ひとつめの仕事内容はクラウド上で依頼されたシステム設計です。

クラウド上では物理的な環境(配線や機器の設置など)を整える作業は基本的に発生しません。

しかしクラウドならではの特徴である拡張性や可用性などを考えながらシステム設計を行う必要があります。


クラウド上でのシステム構築

ふたつめはクラウド上で設計したシステムを動かすために必要な構築作業を行う仕事です。

目的を達成するために必要なクラウドサービスを選びネットワークの構築行うためやはりオンプレミスで構築を行うインフラエンジニアとは異なる知識が必要な分野といえるでしょう。


クラウド上でのシステム運用や保守

最後はクラウド上で完成されたシステムが正常に動き続けるように運用や保守を行う仕事です。

システムを作るだけでなく、その後もクライアントが快適にシステムを利用できるように継続的な管理を行う必要があります。


クラウドエンジニアとインフラエンジニアの違いは?

クラウドエンジニアとよく比較される職業がインフラエンジニアです。

クラウドエンジニアはクラウド上で作業を行うエンジニアを指しますが、インフラエンジニアは自社(場合によっては他社)の環境でサーバーの構築、運用、保守などをするエンジニアのことを指します。

もともとはオンプレミスで働くインフラエンジニアが主流でしたが時代は徐々にクラウド中心へと移り変わっているため近年ではクラウドエンジニアになるために必要なスキルを身につけるインフラエンジニアも増えてきているのです。


クラウドエンジニアの平均年収は?

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クラウドエンジニアの平均年収は約600万円です。

この額はエンジニア職の中ではかなり高いといえるでしょう。

クラウド時代である現代ではクラウドエンジニアの需要は高くなる傾向にあります。

そのためインフラエンジニアやネットワークエンジニアよりも年収が高くなるケースも多いようです。


クラウドエンジニアには欠かせない「AWS」とは?

クラウドエンジニアを目指すのであれば「AWS(Amazon Web Services)」の知識は欠かせません

クラウドエンジニアの多くはこのAWSを使ったシステムの設計や構築、運用などを行っています。

長年エンジニアの経験を積んでいたしてもAWSの知識があるかないかによって仕事の獲得率や年収にも大きな影響が出ることもあるためかなり重要な知識といえるでしょう。


クラウドエンジニアに求められるスキルは?

スキルアップ


もちろん「AWSの知識を持っていれば誰でもクラウドエンジニアになれる」というわけではありません。

AWSの知識以外にどのようなスキルがクラウドエンジニアに求められるのか、詳しく解説していきましょう。


GCPやMicrosoft Azureなどのクラウドサービスの知識

Googleが提供しているGCP(Google Cloud Platform)やMicrosoftが提供しているMicrosoft Azureに関する知識もクラウドエンジニアが持っておくべきスキルです。

AWSを中心に作業を行うクラウドエンジニアが一般的ですが案件や求人の内容によってはAWS以外のクラウドサービス上でシステムの設計、構築、運用を行った方がよいケースも出てきます。

そのためAWS、GCP、Microsoft Azureの3つの知識は最低限身につけておくことが必要といえるでしょう。


ミドルウェアやツールに関する知識

クラウドを使ってシステムを構築していく上でミドルウェアやツールの使用も必要不可欠といえます。

クラウドエンジニアになることを視野に入れている方はミドルウェアやツールの知識も少しずつ身につけていきましょう。


インフラエンジニアやネットワークエンジニアの経験

インフラエンジニア


いきなりクラウドエンジニアを目指すよりもインフラエンジニアやネットワークエンジニアとしての実務経験がある方が当然スキルとして有利です。

インフラ環境からクラウド環境への移行やネットワーク上のトラブルにもスムーズに対応できるため、仕事の幅が広がりやすくなります。

インフラエンジニアやネットワークエンジニアからクラウドエンジニアへとステップアップをするのがスムーズといえるでしょう。


顧客折衝

ビジネスマンの握手


クラウドエンジニアとして働くのであればクライアントとの交渉や相談も業務のひとつとして行う必要があります。

クライアントの要望や意見をヒアリングする中で無理難題を押しつけられたり、費用や納期に問題があったりするケースもあるでしょう。

そんな時、顧客折衝のスキルを持っていればその後の業務を円滑に進めることができます。


資料の作成

クライアント向けに提出する資料を作成するのもクラウドエンジニアの仕事のひとつです。

システム構築やクラウドの知識について詳しく知らないクライアントでも理解しやすい資料があればクライアントから好感を得ることができます。


クラウドエンジニアになるために必要な資格は?

先述した通りクラウドエンジニアになるためにはAWS、GCP、Microsoft Azureの知識が必要ですがこれらのクラウドサービスを問題なく取り扱えることを証明する資格があることをご存じでしょうか。

資格を取得することによりクライアントからの信頼も厚くなるため、クラウドエンジニアを目指すのであればクラウドサービス関連の資格はぜひ取得しておきたいところです。

ここではそれぞれの資格について簡潔に紹介していきます。


AWS認定ソリューションアーキテクト

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AWS認定ソリューションアーキテクトの公式サイトにはAWS認定クラウドプラクティショナー、アソシエイト、プロフェッショナルという3つのコースがあることが記載されています。

それぞれの難易度は以下の通りです。

  • AWS認定クラウドプラクティショナー:初級
  • アソシエイト:中級
  • プロフェッショナル:上級

AWSはクラウドエンジニアにとって欠かせないサービスといっても過言ではないため、クラウドエンジニアとして活躍したいのであればプロフェッショナルの資格を取得しておくのが好ましいといえます。


GCP-Google Cloud Certified

GCPの知識があることを証明する資格であるGCP-Google Cloud CertifiedはGoogle Cloudで提供しているサービスを実際に使った問題が出るためGCPを使って業務をしたことがある人向けの試験といえます。

2019年時点ではGoogleの公式テキストや無料の模擬試験も受けることも可能です。

GCPの勉強がしたい方は公式テキストを読んだり模擬試験を受けてみるところからスタートしてみましょう。


Microsoft Azure認定試験

Microsoft Azureの知識をもっていることを証明するMicrosoft Azure認定試験もGCP-Google Cloud Certifiedと同じく公式が無料の模擬試験を出していたり、学習のアドバイスなどを掲載したりしています。

興味のある方はぜひ公式サイトをチェックしてみてください。


CCSP(Certified Cloud Security Professional)

CCSPは特定のクラウドサービスの知識を問うものではなくクラウドサービス全般において安全に取り扱う技術を証明する資格です。

あらゆるクラウドサービスを安全に取り扱う知識があることを証明するテストになっています。

クラウドエンジニアの保守関連の業務を行いたい場合はCCSPを取得しておくとかなりの強みになるでしょう。


クラウドエンジニアは将来性のある仕事



クラウドエンジニアを目指したい方でもインフラエンジニアに比べて新しい職業のため将来性が気になるという方もいることでしょう。

MM総研が2019年に行った調査ではAWS、GCP、Microsoft Azureへと移行をしてシステムを動かす企業が増加し、今後さらにその数は増えていくという見通しが立てられています。

データセンターで活躍するインフラエンジニアの仕事もまだ需要はありますが、それでも近年のクラウド化の動きからクラウドエンジニア中心の時代が徐々に到来しつつあるといえるでしょう。

クラウドサービスが一般的になる前は「クラウド上でのシステムの管理はセキュリティ的に不安」といった声も多くあがっていました。

現代ではセキュリティ面も強化されているためクラウドサービスへの信頼も厚くなってきています。

つまりクラウドエンジニアの需要は今後も高まる一方といえるでしょう。


クラウドエンジニアに向いている人の特徴

クラウドエンジニアに限らずどの職業にも向き不向きは存在します。

そこでクラウドエンジニアはどのような人に向いているのかまとめました。

今後のキャリア形成を考える上での参考にみてください。


トレンドを追うことが好きな人

様々な業界において「常に最新のトレンドを追うことは重要」といわれていますがクラウドエンジニアの世界も例外ではありません。

次から次に新しいミドルウェアやツールが登場しコンテナ技術やシステムのセキュリティ、サーバーレスコンピューティングに関する最新トレンドも移り変わります。

いつまでも古い情報に頼っているだけでは有能なクラウドエンジニアとして生き残っていくのは困難です。

逆に最新トレンドを追うことが好きな人はクラウドエンジニアとして活躍しやすいといえるでしょう。


コミュニケーション能力が高い人

計画を立てることがグループワークにおいて重要なことである


顧客折衝のスキルが必要だと先述した通りクライアントはもちろん、社内で一緒に働くエンジニアとのコミュニケーションも日常的に行われます。

自分の意見を伝えたり相手の意見を聞いたり、目標達成のためのプランを協力して考えたりといったシーンは多々あるためクラウドエンジニアにもコミュニケーション能力は必要不可欠といえるでしょう。


地道な作業を苦に感じない人

打ち合わせや会議も仕事の一部ではありますがクラウドエンジニアの業務時間の大半はPCの前に座ってシステムの構築や管理などを行うのが一般的です。

インフラエンジニアと同様に地道な作業も多いため、それを苦に感じない人の方が向いている傾向にあります。


自発的に課題を解決する行動力をもっている人



クラウドエンジニアをしていれば「システム上に発生した問題を解決しなくてはいけない」といった場面も数え切れないほど発生します。

問題が起きた際に「どうしたら解決できるだろう?」と自発的に考えていける人の方がクラウドエンジニアに向いているといえるのです。


社内の文化にすぐに適応できる人

社内でクラウドエンジニアとして働く場合「うちの会社ではこのクラウドサービスやツールをよく使っている」といったその会社特有の文化をすぐ受けいれられる人の方がスムーズに業務しやすい傾向がみられます。

またクライアント先の都合で「今回はこのクラウドサービスを使ってほしい」などの指示があることも珍しくありません。

そのようなオーダーに柔軟に対応できる人ほどクラウドエンジニアに向いているといえます。


フリーランスのクラウドエンジニアとして働くためには?

フリーランスSE


すでにエンジニアとして働いている人の中には「将来フリーランスのクラウドエンジニアとして働きたい」といったビジョンをもっている方もいることでしょう。

もしフリーランスのクラウドエンジニアとして働きたいのであれば先述した必要なスキルや資格の他に、クラウドエンジニアとしての実務経験もかなり重要となってきます。

クラウドエンジニアの実務経験を経てから独立する人も多いため実務経験がゼロの状態でいきなりフリーランスになってしまうと競合である他のフリーのエンジニアに仕事をとられやすいリスクがあるのです。

そのためフリーランスになる前に少しでも実務経験を積んでおくことをおすすめします。

もしクラウドエンジニアとしての実務経験を積むのが難しい場合はインフラエンジニアやネットワークエンジニアなど、クラウドエンジニアにできるだけ近い職業を経験しておくのがいいでしょう。


独立するならコンサルタントのスキルをつけるのもおすすめ!



社内で働く場合は上司や同僚と相談をしながらクライアントの抱えている要望やプロジェクトの問題点を洗い出すことができます。

しかしフリーランスの場合、一般的に一人でそれらを洗い出さなければなりません。

そのため自分一人でプロジェクトを成功させるためのコンサルタントのスキルも身につけておくことをおすすめします。

コンサルタントと一口にいっても様々な種類のコンサルタントが存在しますがクラウドエンジニアとして独立するのであればITコンサルタントの知識を身につけておくといいでしょう。


まとめ

リンククラウド技術


クラウドエンジニアはいまや多くのエンジニアが注目している職業です。

クラウドエンジニアは今後も需要が見込まれるため将来性も有望で年収も比較的高い傾向にあります。

エンジニアとしての幅をさらに広げたいと思う方はクラウドエンジニアのスキルを身につけることを視野に入れてみてはいかがでしょうか。