「データベーススペシャリストの資格取得ってどんなメリットがあるの?」

「試験はどれくらいの難易度?独学でも資格取得は可能?」

データベーススペシャリストの資格を考えている人なら、このような不安を持つ人は多いのではないでしょうか。

資格を取得するメリットや、独学ではどのくらい時間かかるかも重要な問題です。

ここではデータベーススペシャリストに関する重要なことを紹介していきます。


データベーススペシャリストとは



データベーススペシャリストとは簡単にいうと会社のデータを管理しつつ、効率がいいシステムを構築できる人のことです。

いわば情報を管理する専門家、といえるでしょう。

この資格はSIer系のフリーエンジニアになりたい人と密接な関わりを持ちます。

無論、資格を持つだけで素晴らしいデータベースを構築できるわけではありません。

しかし高度な知識が必要になる資格なので、持っていればIT企業にとって大きな強みとなります。

企業で役に立つといわれると会社員向けかと感じるかもしれませんが、フリーランスでも重宝される資格です。


データベーススペシャリスト取得のメリット

デジタルマップ


データベーススペシャリストを取得するメリットとは、どのようなところであるのでしょうか。

以下にて、フリーランスとして仕事を取得していきたい人の視点でメリットを紹介していきます。


エンジニアとしての技量を客観的に示すことができる

データベーススペシャリストの資格を取得することで、エンジニアとしての技量を客観的に示すことができます。

なぜなら、データベーススペシャリストの取得の難易度は、スキルレベル4に設定されているためです。

詳しくは後述しますが、スキルレベル4は数ある試験の中でも最高難易度になります。

故に、保有するだけでもエンジニアとしての技量を証明することができるのです。

フリーランスとして活躍する場合も、目に見える資格はやはり大きな武器になります。


上級エンジニアであるのことの証明になる

データベーススペシャリストの資格を保有し、実務経験があれば上級エンジニアであることの証明にもつながります。

また資格を持っていることも重要ですが、やはり実務経験の有無が上級エンジニアであるかどうかの分かれ目になります。

フリーランスは、即戦力になる力が求められる傾向にあるためです。

データベーススペシャリストを手にする自体大きな武器になりますが、「社会に認められる実務経験があるかどうか」という点も見落とさないようにしたいところです。


データベーススペシャリストはどんなふうに活躍できる?



データベーススペシャリストがいるかいないかで、システムの稼働率や効率は大きく変わっていきます。

大きなプロジェクトであればあるほど、データベーススペシャリストの存在は重要になっていくでしょう。

プロジェクトの中心となって活躍することも少なくありません。

この資格は、「私はあなたのプロジェクトの中心となって支えることができます」ということを伝えるものでもあるのです。

これはフリーランスとして参加する場合も同様といえます。また、他の人に技術的な支援をする場面もあるでしょう。

仕事としてもやりがいのある立場になるため、活躍できることは間違いありません。


データベーススペシャリストの試験とは



まずは、保有する資格の試験についての詳細を知っておく必要があります。

「どうしてこの資格を取得したのか」を詳しく説明できることは、フリーランスの世界では鉄則です。

そもそも、データベーススペシャリストを習得するための試験は、情報処理技術者試験の一区分になります。

この情報処理技術者試験は「情報処理推進機構(IPA)」が運営する国家試験です。

また、データベーススペシャリストは経済産業省により、試験難易度をレベル4であると認定されています。

資格の保有者も決して多くはないため、持っているだけで他のフリーランスとの差別化にもなるでしょう。


データベーススペシャリスト資格試験の合格率



結論からいうと、データベーススペシャリストの資格試験は難関です。

平成30年(2018年)春期の合格率は13.9%で、過去4回で合格率は下がり続けています。

その前の試験の合格率は14.5%でした。

スキルレベルが最高難易度の4であることもあり、かなり低いです。

ここから見て分かる通り、そう簡単に取れる資格ではないと思っておくべきでしょう。

その代わり、見事合格できれば大きな強みになることは間違いありません。


データベーススペシャリストの試験内容【午前】

選択テストの正解を探す


データベーススペシャリストの試験では、「午前1」「午前2」「午後1」「午後2」の4つの試験を受験していきます。

この4つの試験で、それぞれ60点(100点満点中)以上をとることができれば合格です。

また、「午前1」の試験は、ある条件下において免除されます。免除の条件と共に、まずは午前の試験内容について以下で説明していきます。


「午前1」の試験について

午前1の試験では、応用技術者試験のレベルに即した問題が出題されます。

マークシート形式になるため、複数の選択肢から正解と思うものを選び、解答します。試験時間は50分です。

午前1の試験が不合格になってしまうと、次の「午前2」を受験することができません。

しかし合格することができれば2年は免除となるため、最初の難関だと思って突破しましょう。

「午前1」の試験が免除される条件は以下の通りです。

  • 応用情報技術者試験の合格後、2年以内は免除
  • その他の高度区分試験に合格後、2年以内は免除
  • 午前1試験部分の合格後、2年以内は免除


「午前2」の試験について

データベーススペシャリスト「午前2」の試験は、「午前1」と同様にマークシート方式となります。試験時間は50分です。

試験のメインは、データベース関連の問題です。合格ラインは他の試験と同じ60点になります。

また、「コンピュータシステム」「情報セキュリティ」「開発技術」も試験の対象であるのも覚えておきましょう。

「午前2」の試験が不合格になってしまうことで、次の試験である「午後1」を受験することができなくなってしまいます。


データベーススペシャリストの試験内容【午後】


「午後1」の試験について

数学を解く女学生


データベーススペシャリスト「午後1」の試験は、「データベース基礎理論」「データベース設計」「DBMSの保守・運用」などから、問題が3問出題されます。

試験時間が90分と長めではありますが、問題が中規模なのでそれほど余裕があるわけではありません。また記述式になるため、午前試験より難易度が上がります。

60点(100点満点中)をとれなかった時点で「午後2」を受験することはできません。


「午後2」の試験について

データベーススペシャリスト「午後2」の試験は、「業務分析」「データベース設計」「運用」が中心に出題されます。

「午後1」と同じく記述式の解答です。2つある問題から1つを選択し解答する方式になっています。

最終試験ですが、もちろんこれも基準点に達することで合格です。データベーススペシャリストの資格保有者となります。


データベーススペシャリストは独学で合格できる!?



前述のとおり、データベーススペシャリストの試験は難易度が高いです。そのため、通信教育や講座がたくさん開講されています。

しかし、独学での合格が絶対に不可能ということではありません。

半年以上のデータベース設計などの経験があれば、仕事をしながらの資格取得も充分に可能です。


独学での試験合格が難しい理由

独学で合格ができるとは解説しましたが、実際はかなり難しいでしょう。

データベーススペシャリストの難易度は、情報処理技術者試験の中でも指折りの難しさです。

試験ごとの合格者の割合が2割以下である点からも、その難しさがうかがえます。

さらに、データベーススペシャリストの受験者のほとんどは中堅エンジニアが多く、いかに実務経験に基づいた知識が必要であるかを裏付けています。

中堅エンジニアであったとしても、文章の読解力が無いと合格の確率は、また一段と落ちるでしょう。

午後2の試験では10ページに及ぶ試験問題を読み、理解しなければいけません。

文章読解力という点で、プロジェクトマネージャー試験ほどではないと言われていますが、それでも10ページにわたる問題の読解というのはかなり難しいです。


データベーススペシャリストを独学で突破する場合の勉強時間の指標

手で筆記する学生


あらかじめどれくらい勉強すれば良いのかを知っておくと、モチベーションも保ちやすいかと思います。

勉強時間の指標としては実務経験があり、「午前1」の試験が免除・かつ長文読解力が高い人の場合、30~40時間程度でも受かる可能性は十分にあります。

実務経験が無く試験の免除も無い一般の人だと、半年~1年はかかると思っておいた方が良さそうです。

「午前1」試験の免除が無い場合、さらに合格は遠のきます。

その場合「できるだけ早くデータベーススペシャリストを取得したい」ということであれば、講座や通信教育を受けることをおすすめします。

通信教育の場合は、受講期間の3~5ヵ月をサポートしてくれます。サポートとは、「自由な質問を随時受付けてくれる」というものが多いです。

また、講座はより初心者向けになっています。

例えば、とある有名資格スクールの通学講座の場合、「1コマ150分の授業が11回」「模擬試験が数回」という構成になっています。

独学が厳しいと判断した人は、講座や通信教育も視野に入れておきましょう。


独学する人は必ず知っておきたい試験対策サイト

どのような試験においても、過去問を繰り返し行うというのは効率的な勉強方法です。

データベーススペシャリストの試験は、問題数がそれほど多くないため、特のその傾向があります。

下記のサイトでは、無料で過去問に関する情報を取得することが可能です。

試験問題の傾向や腕試しとして、一度問題を解いてみることをおすすめします。

  • IPA公式過去問集
  • データベーススペシャリスト過去問道場


データベーススペシャリストの取得に有利な人



上記では独学の難しさや、受験する前の注意点などについて紹介してきました。

以下では、それと反対に「この経験があればデータベーススペシャリストは有利」という人の特徴を紹介していきます。


生産管理、販売管理などの業務知識がある人

達成した


生産管理や販売管理などの業務知識や実務経験がある人は、「午後2」の試験を非常に有利に進めることができます。

なぜなら、午後2で出題される「論理データベース設計の問題」では、販売管理生産管理に関する問題が多く、かなり細かい部分での知識が求められます。

普段金融系や公共系のエンジニアとして従事する人は、日頃使わない用語が多くなるため難しいと感じるようです。

もちろん、「銀行のシステム管理」「勤務管理システム」などを題材とした問題が出題されることもあります。

しかしそれらのほとんどは、「利用者や消費者として理解できる」という場合が多いです。

以上のことから生産管理や販売管理に関するシステム設計の経験があるエンジニアは、新たに覚える知識が少なくなるため、優位に試験を進めるとができます。


SQLを実務で経験している・相応の知識を持ち合わせている人

SQLの実務経験や知識を多く持っていることで、「午前1」「午前2」「午後1」の試験を優位に進めることができます。

なぜなら、「午前1」「午前2」「午後1」の試験では、必ずSQLに関する問題が出題されるからです。無論「午後2」で出題されることもあります。

以前はSQLを避けて合格する道もあったのですが、最近ではSQLなくして試験の合格はできなくなっています。

これはセキュアプログラミングが重要になりつつあるという背景があり、データベーススペシャリストでは、SQLの知識が必須になっています。

逆にSQLの知識が無い人は、合格の道が至難なものとなります。SQLを仕上げるとなると、他言語を新しく覚えるほどの労力に等しいためです。

したがって、実務でSQLを使っているという人は、非常に優位に試験を進められます。


直近で応用情報技術者試験の合格している



直近で応用情報技術者を合格し、かつデータベースを選択した人は試験全般を優位に進められます。

SQLに関しては、基本情報技術者試験応用情報技術者でも多くの問題が出題されるためです。

実務経験の無い場合でも、上記2つの試験のどちらかをクリアしている人というのはSQLの知識を豊富に持っていることの証明になります。

したがって、データベーススペシャリストの試験全般を優位に進められるのです。


論理的な思考力に自信がある

データベーススペシャリストは、情報処理技術者試験の中でも暗記することが最も少ない試験です。

過去問を説くのは大切ですが、それだけではあまり効果的な対策になりません。

合格の左右を大きくするのは「論理的な思考力があるかどうか」という点になります。

ところが、論理的な思考力は、勉強を少ししただけで身に付くものではありません。

「暗記は得意だけど、思考力にはあまり自信がないかも」という人は、かなり苦戦するでしょう。

逆にあまり勉強をしていないという人でも、論理的な思考力があれば合格の可能性はかなり上がります。


まとめ

パソコンの前で微笑む男性


この記事では、「データベーススペシャリストを取得したい人」が前もって知っておきたい情報を網羅的にまとめました。資格取得のイメージはできましたでしょうか。

記事中でも触れましたが、フリーランスエンジニアでは常に即戦力が求められます。

実務経験ももちろん重要な要素の一つとなりますが、難易度の高い資格は客観的に自分の力を証明してくれる心強い武器になってくれます。

また資格勉強をする上で実務に活かせる知見も習得できるため、仕事への理解も深まるはずです。

フリーランスは従事する仕事を理解するだけでなく、要所で提案し積極的にコミュニケーションをとる必要があります。

データベーススペシャリストの取得の勉強を重ねることで、提案できるだけの基礎知識も得られるはずです。

SIer系でフリーランスとして仕事をしたい人は、積極的に取得したい資格であるといえるでしょう。