フリーランスとして活動していくうえで、クレジットカード(法人カード)があればさまざまなメリットを享受でき、非常に便利です。

しかしながら、「フリーランスの方はクレジットカードの審査に通過しにくい」という話を耳にしたことはないでしょうか?

これからフリーランスを目指す方や、フリーランスとしてクレジットカードの作成を検討している方にとって、はたしてフリーランスはクレジットカードを作れるのかどうか、気になっているという方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、クレジットカードの審査に通過するためのポイントやフリーランスにおすすめの法人カードなどをご紹介します。

フリーランスはクレジットカードを作ることができる

はじめに結論からお伝えすると、フリーランスはクレジットカードを作ることができます。

「フリーランス」というだけで、クレジットカードの審査に通過できないわけではありません。

クレジットカードの審査に通過できない方や落ちてしまった方は、収入が安定しないなど、信用に欠ける状態にあったことが要因として考えられます。

フリーランスが審査に通過しにくい理由

しかしながら、一般的にフリーランスはクレジットカードの審査に通過しにくいとされています。

では、それはなぜなのでしょうか?

その主な理由をご紹介します。


・収入の証明が難しい

会社員であれば、企業から給与の支払いを証明してくれる給与明細書などを発行してもらえますが、フリーランスは企業に所属しているわけではないため、収入に関する書類を受け取ることができません。

ある程度の収入があっても証明をすることが困難になるため、クレジットカードの審査に通過しにくいとされています。


・収入が不安定になりがち

クレジットカード会社は、クレジットカード審査の際に収入の安定性を判断基準の1つにしています。

毎月安定して収入のある会社員とは違って、保有する案件などに左右される場合が多いため、フリーランスは収入が不安定になりがちです。

このことは、フリーランスが審査に通過しにくい理由の1つとなっています。

クレジットカードの審査に通過するためのポイント

クレジットカードの審査に通過しにくい理由をご紹介しましたが、これからご紹介するポイントを押さえておけば、クレジットカード会社の審査に通過できる可能性が高くなります。

具体的にどのようなポイントがあるのかを見てみましょう。

開業届を提出する

開業届を税務署に提出することは、フリーランスとして事業を行っていることの証明になります。

現住所のある税務署に一般的に「開業届」と言われている「個人事業の開業・廃業等届出書」などを提出して受理されれば、フリーランスとして事業を行っていることになります。

開業届については以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。

フリーランス・個人事業主の開業届の書き方を徹底解説!フリーランスエンジニアが開業届を提出するメリット・デメリットは?開業届の必要書類と提出先も紹介

毎月安定した収入を得る

前述のとおり、クレジットカード会社にとって「安定した収入があること」は、審査の際の大きなポイントになります。

案件を定期的に獲得することで、毎月安定した収入が得られるのではないでしょうか。

フリーランスの方向けの案件獲得の方法については以下の記事でまとめておりますので、あわせて参照してみてください。

フリーランスエンジニアの案件の探し方、獲得方法は?メリット・デメリット、注意すべきことを交えながら紹介

時間をおいて審査の申し込みをする

フリーランスとして活動を始めてすぐにクレジットカードの申し込みをするのではなく、しばらく事業を継続させてから申し込みを行うことで、クレジットカード審査において有利になる可能性があります。

期間としては、3年程度の実績が目安となります。

信用情報を確認しておく

法人用クレジットカードの審査では、信用情報(クレジットヒストリー)もチェックされます。

他のクレジットカードやローンなどを利用すると、取引状況や過去の履歴が信用情報機関に登録されます。

支払い遅延は事故情報として扱われ、事故情報がある場合はクレジットカードの審査が不利になる可能性が高いと言われています。

自身の信用情報は、信用情報機関に問い合わせることで確認できます。

キャッシング枠を0円にする

法人カードの審査の際には、キャッシング枠を0円にして申請をすると審査に通過できる可能性が高くなります。

キャッシング枠を設定されることは、クレジットカード会社にとっては貸付金の未回収リスクが高まります。

キャッシング枠を0円に設定して、申請をすることでキャッシングを利用する意思がないことをアピールできるため、クレジットカード審査通過の可能性が高くなります。

クレジットカードの種類

では、フリーランスの方はどのようなクレジットカードを作成するのが良いのでしょうか。

まず、クレジットカードには、大きく分けて個人カードと法人カードの2種類があります。

法人カードはさらに、従業員数の違いによって以下のように「コーポレートカード」と「ビジネスカード」の2種類に分けられます。

・従業員が20名以上の企業

コーポレートカード


・個人事業主または従業員が20名以下の企業

ビジネスカード


法人カードは、基本的に法人の信用情報(他のクレジットカードの支払い状況やローンの借入状況など)を基に、クレジットカードの審査がされますが、ビジネスカードのなかには個人の信用情報を基に審査されるクレジットカードがあります。

コーポレートカードは従業員が20名以上の企業向けとなるため、フリーランスの方が法人カードの作成を検討する場合には、ビジネスカードが基本的な選択肢となります。

法人カードのメリット・デメリット

法人カードにはさまざまなメリットがある一方で、デメリットもあります。

以下で法人カードのメリットとデメリットをご紹介します。

法人カードのメリット

・お金の流れを管理しやすくなる

法人カードを利用することで、経費などのお金の流れを管理しやすくなります。  

個人カード1枚で、私生活に関する支払いとビジネスに関する支払いの決済を兼用にした場合、どの支払いにどのカードを使用したのかが分かりにくくなってしまいます。

そのため、個人カードは私生活専用、法人カードはビジネス専用というように使い分けることで、お金の流れを管理しやすくなります。


・節税につながる

法人カードの年会費は経費として計上できるため、節税につながります。

また、クレジットカードは支払い金額に応じてポイントが還元される場合がありますが、このポイントは課税対象にはなりません。


・法人カードの方が個人カードよりも利用限度額が高い

クレジットカードの「利用限度額」は「与信枠」や「利用枠」とも言われていて、クレジットカードで支払うことができる上限金額のことを指します。

法人カードは、個人カードよりもクレジットカードの利用限度額が高い傾向にあります。

個人利用であれば、クレジットカードの利用限度額はそれほど高くなくても問題ありませんが、ビジネスとして利用する場合は、それなりに大きな金額を利用する可能性があります。

法人カードであれば、クレジットカードの利用限度額が高いので、大きな金額が必要になった際に対応することができます。


・法人カードの利用でポイントを貯めることができる

法人カードの利用でポイントが貯まる点もメリットになります。

フリーランスとして活動をするなかで、備品購入や接待交際など、クレジットカードを利用する場面もあるかと思います。

そのような場面などで、法人カードで支払いを行うことでポイントを貯めることができます。

貯まったポイントを利用することで、商品やギフトカードに交換したり、キャッシュバックを受けたりすることができます。

法人カードのデメリット

・支払い回数は基本的に1回払いのみ

法人カードのデメリットは、支払い回数が基本的に1回払いのみとなることです。

個人カードであれば、1回払いや分割払い、ボーナス一括払い、リボ払いなどさまざまな支払い回数があります。

フリーランスの方にとっては、ビジネス関連費用の支払い回数を分割したいときなどにデメリットとなります。


・ポイント還元率が低い

法人カードの利用でポイントを貯めることができますが、法人カードのポイント還元率は個人カードよりも低い傾向にあります。

ポイント還元率が個人カードと同程度の法人カードもありますが、その種類は多くありません。

クレジットカードを選ぶ際のポイント

クレジットカードにはさまざまな種類があるため、「どれを選べばよいのか分からない」と迷う方も少なくありません。

クレジットカードを作る際には、自身に合ったクレジットカードを選ぶことが大切です。

クレジットカードを選ぶ際のポイントをまとめておりますので、参照してみてください。

クレジットカードを選ぶ際のポイント

  • クレジットカードの年会費が無料
  • クレジットカードの限度額が高い
  • 付帯サービスが充実している
  • ポイント還元率が高い

クレジットカードの年会費が無料

年会費が設定されているクレジットカードもありますが、近年では年会費無料のクレジットカードも増えてきています。

年会費無料のクレジットカードは大きく3種類に分けられます。

年会費無料のクレジットカードを選ぶことで、コストをかけずにクレジットカードを所有することができます。

  • 年会費永年無料 初年度から永年で年会費が発生しない
  • 初年度年会費無料 2年目以降に年会費が発生
  • 実質年会費無料 ある一定の金額を決済した場合など、利用条件を満たせば年会費が無料

クレジットカードの利用限度額が高い

年会費と同じように、ほぼ全てのクレジットカード会社がクレジットカードの利用限度額を設定しています。

年収などを審査基準として、クレジットカード会社がクレジットカードの利用限度額を決定します。

クレジットカードの利用限度額ができるだけ高い法人カードを選ぶことで、突然大きなお金が必要になった際に、円滑に事業を進めることができます。

付帯サービスが充実している 

クレジットカード会社によって内容は異なりますが、法人カードにはさまざまなサービスが付いています。

備品購入の際の割引や優待サービス、無料相談サービスなど、ビジネスに役立つ特典も多くあります。

できるだけ付帯サービスの充実しているクレジットカードを選ぶのがよいのではないでしょうか。

ポイント還元率が高い

クレジットカードの利用額に応じて、ポイントが付与されるクレジットカードもあります。

貯まったポイントを備品購入などに充てることもできます。

経費削減にも繋がるため、ポイント還元率の高いクレジットカードを選んでみてはいかがでしょうか。

フリーランスにおすすめの法人カード

さいごに、フリーランスの方に向けておすすめの法人カードをご紹介します。

「どの法人カードを選べばよいのかわからない」と悩んでいる方の参考となれば幸いです。

フリーランスにおすすめの法人カード

  • 三井住友カード ビジネスオーナーズ
  • セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード
  • NTTファイナンスBizカード レギュラー

三井住友カード ビジネスオーナーズ

「三井住友カード ビジネスオーナーズ」は、年会費永年無料の法人カードです。

登記簿謄本や決算書が不要のため、活動を始めて間もないフリーランスや個人事業主の方々は所有しやすい法人になります。

利用限度額は最高500万円まで設定されており、分割払いやキャッシングなども利用することができます。

また、国内・海外傷害保険やポイントサービスなどの付帯サービスも充実している法人カードになります。

参照:三井住友カード ビジネスオーナーズ

セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード

「セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード」は、年会費永年無料の法人カードです。

「三井住友カード ビジネスオーナーズ」と同様に登記簿謄本や決算書は不要になります。

利用限度額は審査により、個別に設定されます。

提携先のウェブサイトで「セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード」を使用すると、通常よりもポイントを多く貯めることができます。

貯めたポイントをギフト券やマイルポイントに使用することもできます。

また、特定サービスを優待価格で利用することができるなどの付帯サービスもあります。

参照:セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス®・カード

NTTファイナンスBizカード レギュラー

前述の法人カードと同様に、「NTTファイナンスBizカード レギュラー」も年会費永年無料の法人カードです。

利用限度額は40万円~80万円までになりますが、ポイント還元率は他の法人カードよりも高く、1%の高還元になります。

特定のウェブサイトにアクセスして買い物をすると、最大26%のポイント還元率になります。

付帯サービスは、国内・海外傷害保険やショッピング補償保険などがあります。

参照: NTTファイナンスBizカード レギュラー

まとめ

本記事では、フリーランスはクレジットカードを作れることや、クレジットカードの審査に通過するためのポイント、法人カードのメリット・デメリット、フリーランスにおすすめの法人カードなどをご紹介しました。

フリーランスの方はクレジットカードの審査に通過しにくいといわれていても、通過するためのポイントを押さえておくことで、クレジットカードを所有できる可能性があります。

フリーランスとして法人カードを取得することはメリットが大きいため、フリーランスにおすすめの法人カードも参照いただき、フリーランスとして活動していくうえで自身に合ったクレジットカードを選んでみてください。