健康保険は、病気や怪我、死亡、出産といったさまざまなリスクに備えるために、全国民が加入する公的な医療保険制度です。

主にフリーランスや個人事業主、自営業者が加入する国民健康保険と、会社員や公務員といった勤め人が加入する健康保険がありますが、いずれもリスクに備え、生活を安定させるために欠くことのできない大切な制度となっています。

フリーランスが加入できる健康保険にはいくつかの種類があり、どの健康保険に加入するかは、原則として自由です。

しかし、複数の選択肢から、自分に合った健康保険を選択することや適正な手続きを行うことは、正確な知識が必要となり容易ではありません。

そこで当記事では、フリーランスが加入できる各種健康保険と、保険料を節約する方法について詳しくご紹介します。

この情報が、保険についての情報を調べているフリーランスや個人事業主の方々にとって、少しでもお役に立てば幸いです。

フリーランスにとっての健康保険

日本は全国民が健康保険に加入する「国民皆保険」であり、フリーランスも会社員も健康保険に加入することに違いはありません。

しかし、フリーランスと会社員では、加入する健康保険は異なっており、会社員が加入する健康保険を自由に選択できないのに対して、フリーランスは加入する健康保険を自由に選択することが可能ます。

フリーランスが加入できる健康保険には、各々メリット・デメリットがあり、「これが絶対に正解である」という保険があるわけではないため、保険についての理解を深めた上で自分に合った保険を選ぶことが大切です。

現在は会社勤めで会社員の健康保険に加入をしていて、今後フリーランスになることを検討されている方もいるかと思います。
そのため、フリーランスと会社員の健康保険の違いについてもこちらでご紹介します。

会社員の健康保険

会社員はフリーランスと異なり、自分で加入する健康保険を選択することはできず、所属する会社によって、以下のいずれかの団体が運営する「一般被用者保険」と呼ばれる保険に加入することになります。

また、いずれの一般被用者保険でも、加入者が全額保険料を負担することはなく、原則として会社と折半する形で、50%ずつ保険料を納めています。会社員の場合は、「会社が保険料を半額負担してくれる」ということが大きなポイントです。

ちなみに、健康保険組合では、規約で保険料の会社負担割合を増やすことも可能です。

・全国健康保険協会

協会けんぽと呼ばれる医療保険で、一般被用者保険の中で最も加入者数が多く、2022年4月末時点では4,036万4千人が加入しています。そのうち被保険者数は2,535万9千人で、被扶養者数は1,500万5千人となっています。
協会けんぽは、会社員にとって最も一般的な健康保険と言っても良いでしょう。

参照:全国健康保険協会「協会けんぽ月報(概要)(2022年4月)」

全国健康保険協会の保険料率は都道府県によって異なっており、2021年の保険料率は最も低い新潟県の9.58%から最も高い佐賀県の10.73%まで1%以上の差があります。

参照:全国健康保険協会「令和3年度都道府県単位保険料率」

・健康保険組合

協会けんぽに加入しない会社員は、健康保険組合に加入することになります。

健康保険組合は、常時700人以上の従業員を使用する会社であれば、単独で設立が可能です。

また合算して常時3,000人以上の従業員を使用している場合は、複数の会社が共同して設立することも可能となっています。

いずれにおいても、使用される従業員の2分の1以上の同意を得て規約を作り、厚生労働大臣の認可を受けなければなりません。

健康保険組合は、3%から13%までの間で、保険料率を自主的に決定できます。

例えば、日本郵船健康保険組合の保険料率は6%となっており、10%前後の保険料率の協会けんぽに比べて、圧倒的に低くなっています。

参照:日本郵船健康保険組合「保険料と標準報酬月額」

保険料率を低く設定できることや、健康保険本来の給付に加えて、上乗せ部分である付加給付を行えることが、協会けんぽに比べてメリットとなっています。

また一般被用者保険には、会社員が加入する協会けんぽや健康保険組合だけでなく、公務員や私立学校教職員が加入する共済組合があります。

フリーランスの健康保険

フリーランスは、会社に所属していないため、会社員のための保険である協会けんぽや健康保険組合に加入することはできず、「国民健康保険」に加入することになります。

国民健康保険は、都道府県とその都道府県内の市町村がともに運営しており、主にフリーランスや個人事業主、自営業者が加入する医療保険です。

また都道府県と市町村が行う国民健康保険とは別に、医師や弁護士、土木建築業者などが組織する「国民健康保険組合」が提供する国民健康保険があります。

保険給付の内容は、協会けんぽや健康保険組合と基本的に変わりはなく、病気や怪我、出産、死亡に関して同様の給付を受けることができます。

ただし、国民健康保険のデメリットとして、協会けんぽや健康保険組合で支給される加入者が病気や怪我の療養で働くことのできない期間の生活保障である「傷病手当金」や、出産前後一定期間における収入の低下または喪失に対する生活保障である「出産手当金」の支給を受けることができません。

また協会けんぽや健康保険組合では、一定の条件を満たした扶養親族がいる場合は、扶養認定を受けて被扶養者となることで、その人の保険料を負担することなく、保険給付を受けることができます。

しかし、国民健康保険では扶養認定の制度がなく、家族が多いと保険料負担が重くなってしまうこともデメリットの一つです。

フリーランスの健康保険の選択肢

フリーランスは、所属する会社によって自動的に協会けんぽや健康保険組合に加入することになる会社員と異なり、自ら加入する医療保険を選択することができます。

フリーランスの健康保険の選択肢となるのは、次の4つです。

  • 国民健康保険
  • 会社員時代の健康保険の任意継続
  • 家族の健康保険に扶養として入る
  • 国民健康保険組合

それぞれの選択肢ごとの手続きやメリット・デメリットについてみていきましょう。

国民健康保険

国民健康保険は、他の健康保険加入の選択肢を選ばなかった場合に、加入することになる医療保険です。

フリーランスや個人事業主の方にとって、最も一般的な健康保険と言えるでしょう。

2021年9月末時点では、2,867万4千人が加入しています。

参照:国民健康保険実態調査 / 国民健康保険実態調査 令和3年度 速報(保険者票編) / 調査結果の概要

注意点としては、加入の手続きを退職の翌日から14日以内に行わなければならず、また以下のような書類を用意する必要があります。

  • 世帯主の印鑑
  • 扶養家族を含め、国民健康保険に加入される者すべての健康保険資格喪失証明書
  • 届出人の本人確認書類

退職した本人のみが加入する場合は、加入者全員の健康保険資格喪失証明書ではなく、離職票や退職証明書など退職の年月日がわかる書類に代えることも可能です。

また扶養家族がいる場合は、加入者全員の健康保険資格喪失証明書に代えて、退職日のわかる書類と、扶養者の加入していた健康保険証のコピーで手続きができます。

本人確認書類は、運転免許証やマイナンバーカード、在留カードなど写真付きのものなら1点でよく、写真付き身分証明書がない場合でも、保険証と年金手帳、介護保険証などのうち2点で手続きが可能です。

参考:金沢市「会社を退職した時に、国民健康保険に加入するためにどのような手続が必要ですか。」

国民健康保険のデメリットは既に紹介した通り、傷病手当金や出産手当金の支給を受けられないことや、保険料の負担が多くなる場合があることです。

しかし、本人都合ではなく倒産・解雇、雇い止めなどの理由で退職した場合や、所得が一定額以下であるときは、申請により保険料の減免が受けられるメリットもあります。

参考:中央区「国民健康保険料の軽減・減免」

会社員時代の健康保険の任意継続

会社を退職したからといって、必ずしも加入していた健康保険の資格を失うわけではありません。

一定の条件を満たしている場合には、加入していた協会けんぽや健康保険組合に申し出ることで、加入者の資格を任意継続することができます。

任意継続している加入者のことを「任意継続被保険者」と呼び、2022年4月末時点の任意継続被保険者数は25万2千人です。これは被保険者全体の1.0%にあたります。

参照:全国健康保険協会「協会けんぽ月報(概要)(2022年4月)」

任意継続被保険者となるためには、次の条件を満たす必要があります。

  • 退職の日まで継続して、2カ月以上健康保険の加入者であったこと
  • 退職の翌日から20日以内に申し出ること
  • 初めて納付すべき保険料をその納付期日までに納付したこと
  • 船員保険または後期高齢者医療保険などの加入者でないこと
  • 任意適用事業(※1)の取消により加入資格を喪失した者でないこと

※1:本来なら健康保険の適用を受けない農林水産業、理美容店、接客娯楽業などの非適用業種や適用業種で5人未満の従業員を使用しているような場合に、厚生労働大臣の認可を受けて、健康保険の適用を受けることになった事業所をいう

「退職の翌日から20日以内」という短い期間内に申し出る必要があることに注意が必要です。

また任意継続手続きの際に、任意継続被保険者資格取得申出書の他に、退職証明書や離職票、健康保険被保険者資格喪失届など退職の年月日が確認できる書類を添付すると、保険証の早期発行が可能となりますので、ぜひ覚えておくようにしましょう。

参考:全国健康保険協会「任意継続被保険者資格取得申出書」

また、任意継続被保険者の資格は次の時期に喪失しますので、こちらも覚えておくようにしましょう。

  • 任意継続被保険者となった日から2年を経過したとき
  • 就職をして協会けんぽや健康保険組合の加入者となったとき
  • 船員保険に加入したとき
  • 後期高齢者医療保険に加入したとき
  • 死亡したとき

任意継続被保険者の保険料は、退職時の標準報酬月額か加入者平均標準報酬月額のいずれか低い方を基に計算されます。

現在の協会けんぽの加入者平均標準報酬月額は30万円となっており、任意継続被保険者の保険料は、これを基に計算された額が上限です。そのため、退職時の標準報酬月額が高ければ高いほど、保険料は安く抑えられることになります。

参考:全国健康保険協会「保険料について」

任意継続被保険者の保険料は、会社の保険料折半負担がなくなるため、全額加入者の自己負担です。

しかし、同じ全額自己負担の国民健康保険の保険料は前年の所得から計算されるため、全額自己負担となっても上限のある任意継続の方が安い場合があります。

任意継続被保険者となっても扶養認定は行われるため、「扶養親族がいる場合は1人分の保険料負担で済む」という点も、国民健康保険に比べた場合のメリットとなっています。

また健康保険組合の任意継続であれば、組合独自の付加給付を退職前と変わらず受けられることや、退職後も組合の福利厚生を利用できる点もメリットです。

参考:楽天健康保険組合「退職した後は」

一方のデメリットとしては、退職の翌日から20日以内と短い期間で手続きをしなければならないため、前もって準備をしておかなければならないことがあります。

また他の健康保険と異なり、任意継続被保険者となった日から2年で自動的に資格を喪失するため、次に加入する健康保険を考えておかなければならないこともデメリットとして挙げられます。

家族の健康保険に扶養として入る

フリーランスにとって、家族の健康保険に扶養として入るということも選択肢の一つとなります。

扶養に入る場合の最大のメリットは、保険料を納める必要なく、保険給付を受けることができる点です。

デメリットとしては、傷病手当金や出産手当金など一部の支給が受けられないことや、扶養に入る条件が厳しいことがあります。

なお、健康保険の扶養に入っている被扶養者数は、2022年4月末時点で1,500万5千人となっています。

家族の健康保険に扶養として入るためには、次の条件を満たす必要があります。

対象者が健康保険加入者と同一世帯に属している場合
対象者の年間収入が130万円未満であって、健康保険加入者の年間収入の2分の1未満であること
対象者が健康保険加入者と同一世帯に属していない場合
対象者の年間収入が130万円未満であって、かつ健康保険加入者からの援助による収入額より少ないこと


ただし、同一世帯に属している場合は、対象者の年間収入が健康保険加入者の年間収入の2分の1以上であっても、健康保険加入者の年間収入を上回らず、かつ健康保険加入者が世帯生計の中心である場合は、扶養に入ることができます。

参考:全国健康保険協会「被扶養者とは?」

扶養に入るための手続きは、扶養する事実の発生した日から5日以内に、次の書類を日本年金機構に提出することで行います。

  • 健康被扶養者(異動)届
  • 健康保険加入者との続柄を証明する戸籍謄(抄)本
  • 健康保険加入者の住民票(健康保険加入者が世帯主で、同一世帯に属している場合)
  • 課税証明書など年間収入を証明する書類
  • 仕送りの事実が確認できる書類(健康保険加入者と別居している場合)

国民健康保険組合

フリーランスとして特定の職業に就いている場合は、「国民健康保険組合」に加入することも選択肢となります。

国民健康保険組合は、同業同種のフリーランスや個人事業主、自営業者が組織する組合です。

国民健康保険組合には、2021年4月末時点で272万6千人が加入しています。


国民健康保険組合に加入するメリットは、次のようなものがあります。

・独自給付を行う場合がある

原則として、国民健康保険組合の保険給付は、国民健康保険と変わりませんが、組合によっては、疾病入院給付金、出産手当金、一部負担払戻金など、独自給付を行っている場合もあります。

参考:東京土建国民健康保険組合「国保組合で受けられる保険給付」

・保険料が定額であり、所得によっては国民健康保険よりも安くなることがある

標準報酬月額に基づいて保険料を計算する協会けんぽや、前年度の所得に基づいて保険料を計算する国民健康保険と異なり、国民健康保険組合の保険料は定額です。

例として、文芸芸術国民健康保険組合の2022年度の月額保険料は次のようになっています。

  • 組合員:21,100円
  • 家族:11,600円
  • 介護保険料:5,200円

参考:文芸芸術国民健康保険組合「保険料について」

定額の保険料であるため、所得が高ければ高いほど、保険料が安く抑えられることになります。したがって、所得が高い場合には国民健康保険に比べて大きなメリットとなることがあります。


一方で国民健康保険組合に加入するデメリットとしては、次のようなものがあります。

・保険料が国民健康保険よりも高くなる場合がある

保険料が定額であるため、前年度の所得が高ければ保険料を抑えることができますが、逆に低い場合であれば、国民健康保険より高い保険料になる可能性があります。

そのため、加入にあたっては、予定している所得を考慮しなければならないことに注意が必要です。

・扶養認定の制度がない

国民健康保険組合は、国民健康保険法に基づいて設立されているため、国民健康保険と同様に扶養認定の制度がありません。

そのため、会社員としての健康保険では扶養に入っていた家族分の保険料も負担する必要があります。


国民健康保険組合の例として、デザイナーやイラストレーターといったクリエイティブ職のフリーランスにとっての選択肢の一つとなる、文芸美術国民健康保険組合についてご紹介します。

文芸美術国民健康保険組合

文芸美術国民健康保険組合は、1953年に設立された日本国内に住所を有し、文芸、美術及び著作活動に従事し、組合加盟の各団体の会員である者とその家族を加入対象とした国民健康保険組合です。

主に、以下のようなクリエイティブな職業に就いているフリーランスが加入する国民健康保険組合です。

  • デザイナー
  • イラストレーター
  • アニメーター
  • 漫画家
  • シナリオライター など

文芸美術国民健康保険組合に加入するためには、前提として日本アニメーション協会や日本映画監督協会、日本漫画家協会といった加盟団体に加入している必要があります。

加盟団体の一覧は文芸美術国民健康保険組合のウェブサイトに記載されていますので、加入を検討される場合はご確認ください。

またITフリーランスであっても、Webデザイナーであれば文芸美術国民健康保険組合に加入できますが、ITエンジニアやプログラマーは加入できません。

参考:文芸美術国民健康保険組合

国民健康保険組合は、特定の職業に就いているフリーランスや個人事業主、自営業が加入するため、組合によって必要となる条件や手続きは変わってきます。

また職業だけでなく、居住地などによっても加入できるかどうかが変わってくるため、申し込みの前に、加入したい国民健康保険組合に問い合わせることが必要です。


フリーランスが保険料を安くする方法

健康保険はさまざまなリスクに備えるために非常に重要なものですが、出来ることならなるべく安く済ませたいですよね。

そこで、こちらではフリーランスが保険料を安く抑える方法についてご紹介します。

保険料が安い自治体への引っ越し

国民健康保険の保険料は、住所地の自治体によって異なっています。

そのため、リモートワークなどで働く場所に制約が無い場合や、引っ越しを検討されている方などは、保険料の安い自治体に引っ越すことで保険料を安く抑えることが可能です。

参考として、神戸市と平塚市の保険料を比較すると次のようになります。


神戸市の保険料率

  • 医療分:8.41%
  • 後期高齢者支援金分:2.98%
  • 介護分:3.14%
  • 保険料率の合計:14.53%

参考:神戸市「保険料の額は」


平塚市の保険料率

  • 医療分:6.69%
  • 後期高齢者支援金分:2.77%
  • 介護分:2.94%
  • 保険料率の合計:12.4%

参考:平塚市「国民健康保険税の課税」


以上のように、神戸市の保険料率は合計14.53%で平塚市の保険料率は合計12.4%となっており、2.13%の開きがあります。

これを所得500万円で計算すると、年間115,000円もの差が出ることとなり、自治体によって保険料の負担に大きな差が生じることが分かります。

特にIT系のフリーランスであれば働く場所に対する制約も小さいことから、より快適で働きやすい環境を求めて引っ越しを検討される方もいるでしょう。

その際に、健康保険料率も引っ越し先を検討する上での一つのポイントとしてみてはいかがでしょうか。

以下のWEBサイトにて地域ごとの国民健康保険料を計算することができますので、気になる方はぜひ調べてみてください。

国民健康保険計算機

健康保険組合に加入する

健康保険組合の紹介でも述べましたが、健康保険組合は保険料が定額のため、所得が一定以上の場合は国民健康保険よりも保険料が安くなることがあります。

保険料や加入条件などは健康保険組合によって異なるため、加入を検討する場合は自身の業種で加入できる健康保険組合の保険料について確認するのが良いでしょう。

青色申告で確定申告する

保険料を抑える手段として、青色申告で確定申告をするということも有効です。

フリーランスになると、会社員時代とは異なり、自分で所得税など税金の申告をしなければなりません。

簡易簿記の白色申告では10万円の控除しか受けられませんが、複式簿記の青色申告で確定申告をすれば、65万円の特別控除を受けることができます。

控除額が上がることで所得金額は下がるため、所得金額を基に計算される住民税や国民健康保険料も下がることになります。

経費や控除を増やす

上の内容とも似ていますが、経費や控除を増やすことで所得金額を下げることができます。

その結果として、同様に所得金額を基に計算される住民税や国民健康保険料が下がることになりますので、可能な範囲で経費や控除を増やすことを意識することが重要です。

フリーランスが加入できるその他の保険

フリーランスが加入できる保険は、健康保険などの医療保険だけではありません。

他にもフリーランスが抱えるさまざまなリスクに備えるために加入できる、フリーランス協会の賠償責任保険や労災保険の特別加入といった制度がありますので、こちらでご紹介します。

フリーランス協会の賠償責任保険

フリーランスとしての業務中に起こり得るリスクに備えるための賠償責任保険です。

会社員の場合であれば、ミスを起こしても社員個人に損害賠償請求が行われることは稀であり、賠償責任保険に加入することはあまりありません。

しかし、フリーランスは自ら起こしたミスに対して、責任を取らなければならず、賠償額も高額になる恐れがあるため、賠償責任保険などに加入して、備えておく必要があります。

有名なフリーランス向けの賠償責任保険としては、プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会が提供する「ベネフィットプラン」があります。

労災保険のような公的な保険ではありませんが、自転車や自動車の運転中に事故を起こし、怪我を負わせたような場合や、情報漏洩や瑕疵、納期遅延といったフリーランスとして起こり得るリスクに対しての補償があります。

さらにフリーランスを総合的に支援するさまざまなサービスも提供されています。

年会費は1万円で、経費としても計上可能です。フリーランスにとって魅力的な選択肢の一つと言えるでしょう。


フリーランス協会について詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてご参照ください。

フリーランス協会とは?フリーランス協会の概要や評判から、入会メリットや入会方法について解説


労災保険

労災保険は、業務上や通勤中の事故による労働者の怪我や病気、障害、死亡などに対して必要な保険給付を行うことを目的とする公的な保険です。

雇用保険法とあわせて労働保険と呼ばれており、会社員であれば原則として、誰でも加入しています。

また会社員以外であっても、一定の条件を満たしている場合には、特別加入という制度を使って加入することが可能です。

加入対象は限定されており、運送業や建設業の一人親方や中小企業の社長や役員の加入が代表的ですが、働き方の多様化によって対象範囲の拡大が行われています。

特に、2021年9月からITエンジニアなどのITフリーランスが対象に追加されたことが大きなポイントです。

具体的には、次のように対象範囲が広がっています。


2021年4月から対象に追加

  • 芸能関係作業従事者
  • アニメーション制作作業従事者
  • 柔道整復師
  • 創業支援等措置に基づき事業を行う者

参考:厚生労働省「令和3年4月1日から労災保険の「特別加入」の対象が広がりました」


2021年9月から対象に追加

  • 自転車を使用して貨物運送事業を行う者
  • ITエンジニアなどのITフリーランス

参考:厚生労働省「令和3年9月1日から労災保険の「特別加入」の対象が広がりました」


会社員が加入する通常の労災保険は、事故が起きたときの給与に基づいて休業給付など保険給付の額が決まりますが、特別加入の場合は、自分で選択した3,500円から25,000円までの保険料に基づいて保険給付の額が計算されるという違いがあります。

まとめ

会社員であってもフリーランスであっても、病気や怪我、死亡、出産といったさまざまなリスクに備える必要があるため、健康保険は非常に大切な制度です。

特にフリーランスは、会社員に比べて保障が少なく、リスクへの備えはより重要と言えるでしょう。

当記事では、フリーランスが加入できる健康保険の選択肢や各々のメリット・デメリット、保険料の抑え方などについて紹介してきました。

当記事を読むことを通して、健康保険の正しい知識を身に付け、自分に合った健康保険への加入や労災保険の特別加入など、よりフリーランスとして安全な仕事ができる環境づくりに役立てて頂けたら幸いです。


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