フリーランスエンジニアとして活動されている方のなかで、「フリーランスエンジニアはどのような項目を経費にすることができる?」「経費を計上する際の割合の目安は?」などの疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

また、フリーランスエンジニアの方は自身で確定申告を行う必要があり、経費の計上は重要なポイントになります。

そこで本記事では、フリーランスエンジニアが経費にできる項目や経費にできない項目、経費割合の目安、経費を計上する際に注意すべきポイントなどについて紹介します。

フリーランスエンジニアの経費とは

はじめに、「経費」とは何なのでしょうか。

経費とは、パソコンや携帯などの通信費、作業場の家賃など、事業を行うために必要な費用になります。

プライベートで使用したお金は経費には当てはまりません。

そのため、経費を計上する際には、事業で使用した費用とプライベートで使用した費用を分けるように注意しましょう。

例えば、携帯電話を事業用とプライベート用で別に契約している場合は、事業用の携帯電話の通信費を経費として計上できます。

しかし、携帯電話を事業とプライベートで併用している場合は、全額を経費として計上することはできません。

フリーランスエンジニアの経費の割合の目安は

フリーランスエンジニアは売上に対してどれくらいの割合まで経費にすることができるのでしょうか。

フリーランスエンジニアが計上できる経費の上限は決まっておらず、事業に関わるものは基本計上できますが、フリーランスエンジニアの売上に対する経費の割合は、約50%までといわれています。

しかし、例えば売上が年間700万円あり、交通費250万円を経費として計上した場合などは、不当な数字としてみなされてしまい、追徴課税などを課せられる可能性があります。

経費の割合が50%までというのは、あくまで目安として認識しておきましょう。

経費を計上するメリットとは

経費を計上することによって確定申告で支払う所得税を減らすことができます。

所得税は、所得が多ければ多いほど税率が高くなる「累進課税」になります。

所得は以下の計算式で計算することができます。

・所得=1年間で得た収入−経費

経費が多ければ多いほど、所得が少なくなるため、所得税の税率が低くなり、確定申告で支払う所得税を減らすことができます。

フリーランスエンジニアの方に向けて、以下の記事で「確定申告」について解説していますので、併せて参考にしてみてはいかがでしょうか。

フリーランスエンジニア・個人事業主の確定申告のやり方を解説!いくらから確定申告が必要?経費のポイントと知っておくべき税金知識まとめ

経費以外にも、控除によって所得税を減らすことができます

控除については以下の記事で紹介していますので、気になる方は参考にしてみてください。

フリーランスとして働く場合の税金や控除について、抑えておくべきポイントを交えながら解説!

フリーランスエンジニアが計上できる経費項目とは

フリーランスエンジニアは個人事業主になるため、先ほどお伝えしたとおり、「事業に必要な費用」はすべて経費として計上することができます。

具体的には、どのような経費項目を計上することができるのでしょうか。

こちらでは、代表的な経費項目をご紹介します。

参照:国税庁│必要経費

租税公課

租税は、自動車税や固定資産税など国や地方公共団体に納める税金のことで、所得税や住民税以外の税金です。

公課は、商工会や共同組合などに支払う会費や組合費などです。

これらをあわせて租税公課と呼び、経費項目の対象になります。

しかし、自動車やオフィスなどを親族が所有している場合は対象にならない可能性があるため、注意しましょう。

水道光熱費

水道代やガス代、電気代などの水道光熱費も経費として計上することができます。

仕事を行うための事務所などを借りている場合は全て経費として計上できますが、自宅で仕事をしている場合は按分しなければなりません。

自宅で使用した水道光熱費は、仕事で使用した日数や時間などで按分することができます。

旅費交通費

クライアント先への移動などで使用した電車やタクシーなどの運賃、宿泊費用を経費として計上することができます。

電車やバスなどの公共交通機関ではレシートや領収書が発行されないこともあります。

そのため、公共交通機関を利用する際には、出金伝票を発行して保管しておくなどの対応をしましょう。

また、仕事で自家用車を使用している場合は、駐車場代や燃料費などを仕事用として按分する必要があります。

通信費

インターネットやWi-Fiの利用料、携帯電話の電話料金などの費用が通信費になります。

通信費も経費として計上できますが、自宅で使用した通信費は按分が必要になります。

自宅で使用したインターネットや携帯電話などは、利用時間や日数などで按分することができます。

広告宣伝費

新聞や雑誌、チラシなどの費用は広告宣伝費として計上することができます。

フリーランスエンジニアの場合、自身のポートフォリオを掲載するウェブサイトや名刺などの作成費用が例として挙げられます。

接待交際費

クライアントなどを接待する際に使用した飲食代や旅行代などの費用を計上することができます。

フリーランスエンジニアなどの個人事業主の場合は、接待交際費の上限はありません。

しかし、接待交際費は仕事とプライベートの線引きが難しいなどの理由で、経費項目として認めてもらえない可能性があります。

そのため、飲食や旅行のあった年月日や参加者情報などを記載した書類を保存しておくようにしましょう。

また、1人あたり5,000円を下回る飲食費は経費項目として認められないので、注意しましょう。

参照:国税庁│交際費等の範囲と損金不算入額の計算

消耗品費

仕事用のパソコンや机などの消耗品や仕事に使用する文房具などの事務用品は、経費として計上することができます。

しかし、「使用期間が1年未満のもの」「購入費用が10万円未満」の消耗品や事務用品に限ります。

参照:国税庁│消耗品費

減価償却費

減価償却費とは、耐用年数に応じて分割して申告することができる経費になります。

耐用年数とは、パソコンやデジタルカメラなどの減価償却資産を使用した場合、効果を上げることができると見込まれる年数のことです。

耐用年数はパソコンは4年、自動車は6年など、年数が決まっています。

耐用年数は以下に詳細が記載されていますので、参照してみてください。

参照:国税庁│耐用年数表

外注工賃

クライアントから受注した仕事の一部を外部業者に委託した場合、外注工賃として経費計上することができます。

外部業者に委託する業務によっては、源泉徴収が必要なケースが発生します。

源泉徴収が発生した場合、外部業者に所得税などを徴収して、税務署に納税する必要があります。

源泉徴収については下記で詳細に解説しています。

気になる方は参考にしてみてください。

フリーランスが知るべき源泉徴収について解説!源泉徴収の計算、必要な報酬、請求書の書き方も紹介!源泉徴収しないとどうなる?

地代家賃

地代家賃とは、仕事を行うために使用している場所にかかる費用になります。

事務所を借りている場合は事務所代、自宅で仕事をしている場合は自宅の家賃などを経費として計上できます。

自宅で仕事をしている場合は、建物を資産として計上し、減価償却の勘定科目で申告する必要があります。

参照:厚生労働省│別表 勘定科目の説明(改正案)

フリーランスエンジニアが計上できない経費項目とは

「フリーランスエンジニアが計上できる経費項目」をご紹介してきましたが、計上できない経費項目もあります。

こちらでは、「フリーランスエンジニアが計上できない経費項目」をご紹介します。

プライベートで支払った費用

前述のとおり、クライアントなどを接待する際には飲食代や旅行代などの費用を「接待交際費」として経費計上することができますが、プライベートで家族や友人などとの飲食代や旅行代は経費としては認められません。

また、保育料や学費などの費用も経費として計上することはできません。

これらのようにプライベートの費用は経費としては計上できない項目になります。

税金

所得税や住民税などは経費としては計上できません。

詳細について知りたい方は以下を参照してください。

参照:国税庁│租税公課

また、所得税や住民税については以下の記事で紹介していますので、参考にしてみてください。

フリーランスとして活躍するために税制をしっかりおさえておく

自身の健康診断で支払った費用

健康診断や人間ドックなどで支払った費用は経費として計上することはできません。

また、医療費控除の対象にもならないため、注意しましょう。

参照:国税庁│セルフメディケーション税制とは

なお、従業員を雇っており、従業員に健康診断や人間ドックなどを受けさせる際の費用は経費として計上することができます。

フリーランスエンジニアが経費を計上する際に注意すべきポイント

経費として認められるためにはどのようなポイントに注意する必要があるのでしょうか。

こちらでは、「フリーランスエンジニアが経費を計上する際に注意すべきポイント」を紹介します。

領収書やレシートの保管

経費として認めてもらうためには、領収書やレシートを保管しておきましょう。

経費を計上する際にいつどこで何を購入したのか、サービスを利用したのかを証明することができます。

領収書やレシート以外には以下も利用することができます。

  • クレジットカードの利用明細
  • 通帳
  • 出金伝票
  • 振込明細書 など

帳簿に記帳する

事業で費用が発生した際には、帳簿に記帳するようにしましょう。

経費は申告すると課税対象額を減らすことができますが、帳簿への記載義務はありません。

しかし、帳簿を活用することでお金の流れを把握することができるため、経費の計上漏れを防ぐことができる可能性が高まります。

国税庁のウェブサイトでは、帳簿の記帳の仕方が整理されています。

参照してみてはいかがでしょうか。

参照:国税庁│帳簿の記載のしかた

過剰に経費を計上しない

過剰な経費計上は、所得の過小申告などの不正を行っているのではないかと疑われ、税務調査の対象になるリスクが高まります。

税務調査で不正が発覚した場合、追徴課税が課せられる可能性もあります。

そのため、むやみに経費を計上するのではなく、経費を計上する前に経費計上の対象として適切かどうかを一度検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

本記事では、フリーランスエンジニアが経費にできる項目や経費にできない項目、経費割合の目安、経費を計上する際に注意すべきポイントなどについて紹介しました。

「経費にできる項目と経費にできない項目など覚えることが多い」などと感じるかもしれませんが、本記事の内容を押さえておくことによって、経費の対象として適切なのかどうかを判断しやすくなる可能性が高まります。

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