ITエンジニア不足の問題は、今後社会問題にまで発展すると予想されています。

なぜこんなにもITエンジニア不足が続いているのでしょうか。

ITエンジニア不足の理由や2030年問題についても解説していきましょう。


ITエンジニア不足の現状

会社 エンジニア


ITエンジニア不足は2020年問題として社会問題化されています。

2020年問題といわれる理由には、2020年に開催される東京オリンピックに向けてさらにエンジニアが必要になるからです。

東京オリンピックでは最新の技術を用いて世界に日本の技術力を宣伝する目的もあります。

革新的な日本の技術力を2020年のオリンピック開催で世界に発信するべく、多くのエンジニアが開発に取り組んでいる最中です。

しかし、2020年の東京オリンピックが終わるとその需要も急激に減少することが予想されます。

そのため、企業はITエンジニアの雇用に消極的という理由が背景にあるでしょう。


ITエンジニア不足の理由

システムエンジニア 面接


ITエンジニア不足は2020年問題だけではなく、すべての分野において慢性的な人手不足状態といわれています。

IT業界のエンジニア求人は常にあふれかえっている状態にもかかわらず、人材が圧倒的に足りない状態です。

その理由にはどんなことが考えられるのでしょうか。


IT業界の急成長

急成長


ITエンジニア不足の理由にはIT業界の急成長が挙げられています。

どの企業もPCやシステムを使い仕事を行うことになったのは実はつい最近のことです。

しかし、今ではどの企業もPCやシステムがなければ仕事にならない状況になっています。

このことからもわかるように、急激にITスキルを持つ人材の需要が増えていることで供給が追い付かない状態になっています。

そのためITエンジニアを新たに雇用したとしても供給が追いつかず、慢性的な人手不足が当たり前となってしまっているといえるでしょう。


技術者の高齢化

フリーランスエンジニアの限界


IT業界を作り上げ急成長を支えてきた時代の人材が定年退職の年を迎えているのも大きな理由の一つです。

大量に定年退職を迎えることによって、IT業界に携わる人材の人数が急激に減少しています。

それだけではなく、高齢化したことでIT業界の最新の技術力についていけなくなっていることも挙げられるでしょう。

IT業界やIT部門担当の人員はいるように見えて、こうした高齢化を理由に実は機能していない人材が多いことも原因です。

人数の問題だけではなく、IT業界に携わる人材の質の問題も深刻化されています。


IT業界のネガティブイメージ

保険、カスタマーケア、サポート


IT業界が注目された頃は最先端でカッコいいイメージがありました。

しかし、そのイメージでITエンジニアになった人たちがIT業界への理想とのギャップにネガティブな感情を抱くようになります。

それが3Kといわれる「きつい・厳しい・帰れない」というIT業界のネガティブイメージとなり、知れ渡るようになりました。

ブラック企業といわれる会社もIT企業に多いこともあり、そのイメージは深刻化してしまいます。

しかし、現状では働き方改革の後押しもあり働く環境は改善されている傾向にあるといえるでしょう。

また、働き方が改善されない会社では優秀な人材の流出してしまうため生き残っていけない状態になります。


IT業界の低い年収

フリーランス デスクトップ お金 ノートパッド


ITエンジニア不足の理由には、高度な技術職であるにも関わらず年収が低いことも理由に挙げられるでしょう。

IT業界で年収1,000万円以上を獲得しているエンジニアはほんの一握りです。

IT業界は年功序列ではなく実力を評価する会社が多く、本当に優秀な人に高い報酬を出す傾向にあります。

そのため、年収1,000万円以上を獲得するのはピラミッドの頂点に位置するような人達です。

普通レベルのエンジニアはIT業界でも一般評価しかもらえず、年収も平均止まりになってしまいます。

技術を身に付けたとしても大して年収が変わらないとなれば、わざわざ苦労してITエンジニアになる理由もありません。


IT業界の変化の速さ

若いスタートアッププログラマ


IT業界にはトレンドがあります。

そのトレンドの移り変わりも早く、仕事で使うスキルもトレンドと共に変化していきます。

そのため、ITエンジニアには常にスキルアップとトレンドを先読みすることが求められます。

常に最新の技術力や情報・知識が求められるため、働き続けるには努力が必要です。

こうした業界の特徴もあり早期リタイアが多い職種でもあります。

長く働くイメージができないことや時代に追いつけないなどの理由で働き盛りの30~40代の転向が盛んです。

こうした業界の特徴も人手不足に拍車をかけているといえます。


2030年に予測される「質」的不足の背景

審査する チェック


2030年には人数的なITエンジニアの不足よりの「質」の不足が問題になるといわれています。

この2030年に予測される「質」的不足の問題はどのようなことなのでしょうか。


義務教育化

勉強するくまさん


2020年からプログラミングが義務教育化になり、ITスキルの一般常識化が進行中です。

2030年頃から義務教育を経た世代が社会人となり、当たり前にITスキルを持っている状態が期待されています。

しかし、一般的なITスキルを持っている人口は増えたとしてもスペシャリストを目指す人口が少なくなることが予想されています。

基本知識はある人が増えるけど、質が伴わないことが問題となるでしょう。


フリーランス化

フリーランスSE


企業に属してITエンジニアとして活躍していくのは厳しく、実際1年未満でやめてしまう人も多い業界です。

そのため、近年では3年程度働いてスキルや知識を身に付けたら会社員を辞めてフリーランスや起業する人が多くなっています。

フリーランスや起業した方が実際に年収が上がることも多いということです。

そのため、わざわざ企業に属してスペシャリストを目指す人も少なくなると考えられています。

その傾向は現在のフリーランス人口増加にも表れており、フリーランスにITスキルを持った人材が多いこともわかっています。


海外への人口流出

ネットワーク 世界 地球


海外ではフリーランスという働き方が主流となりつつあります。

それに加えて海外のITエンジニアは満足度が高い傾向にあるといわれています。

その理由には、フリーランスとなることで企業から直接報酬をもらえるというもの。

日本の場合、企業が下請けを雇うITのゼネコン化が問題視されています。

このゼネコン化により下流工程を担当するエンジニアの報酬は搾取されているということです。

そのことから、優秀な人材は海外でフリーランスとして働くようになっていくでしょう。

そのため、将来海外に優秀なエンジニアが流出してしまう問題が深刻になることも予想されています。


業界が求める人材になるために必要なこと

ビジネスマン


ITエンジニアとして高い報酬をもらうためには、IT業界が求める人材になることが必要でしょう。

IT業界が求める人材になるために必要なことをご紹介していきます。


専門スキルを磨く

目標


IT業界で求められる人材になるためには、エンジニアとしてスペシャリストを目指すことが必要です。

とくに高度な技術のスペシャリストになることで、常に求められ続ける人材でいられるでしょう。

また、エンジニアの中でもスペシャリストであれば高収入を目指すことも可能になります。

常に最新の技術力を学んでいく必要がありますが、それだけやりがいと報酬を得られるのではないでしょうか。


フルスタックエンジニアになる

最強の男


フルスタックエンジニアとして幅広い知識とスキルを身に付けることもIT業界で求められる人材です。

フルスタックエンジニアであれば需要に合わせたスキルを提供できるというのが強みになるでしょう。

変化の激しいIT業界で平均的なスキルで生き残っていくためには、スキルの幅で勝負するのがおすすめです。

しかし、その中でも得意分野を持っておくとより必要とされる人材となれるのではないでしょうか。

といっても、常にスキルアップや新しいスキルを身に付けることが要求されることも理解しておきましょう。


深刻な人材不足が予想される分野

フリーランス 悩み


これからはIT業界の中でもどのような分野の人材不足が深刻になるのでしょうか。

IT業界を目指している方は、人材不足が予想される職種を目指すこともおすすめです。


セキュリティ関連

会社の進化


とくにITエンジニアで高いスキルを要求されるようになるのがセキュリティ関連といわれています。

個人のより詳細なデータ化がされるため、企業や国のデータセキュリティの強化が必要です。

また、サイバー攻撃もより高度になっていくことでしょう。

そのため、セキュリティ対策として高度なスキルを持つスペシャリストが必要となります。


AIやビックデータ

ブラウザのアイコンをタッチする男性


AIに仕事が取って代わられるといわれていますが、そもそもAIの人工知能を活用するためにはITエンジニアが必要です。

AI・機械学習には大量データの分析と解析が欠かせない工程になります。

そのため、ビッグデータを扱えるエンジニアも同様に不足することが考えられるでしょう。

AIは将来性のある分野なので、高収入を目指せる可能性も注目されている職種です。

ITエンジニアでこれから高収入を目指すのであれば、AI分野に転向するのもおすすめかもしれません。


IT業界の求める人材の変化

フリーランス協会


IT業界で今まで求められていたのは、定められた納期までにプロジェクト完了させ納品することでした。

しかし、これからはビジネスを生み出すこと、新しい仕事や価値を生み出していくことがITエンジニアに求められます。

つまり技術職からクリエイティブな職種に変化していくこと考えられています。

日本の教育はまだまだ会社員して従順に働くような教育が良しとされている状態です。

しかしこれからは、もっと自由でクリエイティブな発想ができる海外の教育に習うべきであるといえるでしょう。

これこそ「質」的不足といわれる背景でもあります。


エンジニア不足はチャンス

エンジニア 面接


ITエンジニア不足は実はチャンスととらえるべきでしょう。

今でもまことしやかに囁かれているITエンジニアの35歳定年説ですが、人材不足が改善されないIT業界は即戦力を求めています。

ITエンジニアとしてスキルと経験のある30〜40代のベテラン技術者は即戦力として重宝されているということです。

これからの30〜40代のベテラン技術者は、スキルアップや職種の転向をしてキャリアアップを目指せるチャンスといえます。

また、ITエンジニアの未経験者も即戦力を身に付けていれば、IT業界に参入しやすい状況です。

プログラミングスクールで即戦力を身に付けるなどして、IT業界参入のチャンスを活かしましょう。


ITエンジニア不足対策を利用する

会議


ITエンジニア不足により、現在はサポート体制が充実してきているのはご存知でしょうか。

ITエンジニア不足対策を上手く利用することで、あなたのスキルアップが目指せるかもしれません。


30〜40代技術者向けの実践的講座

システムエンジニア


ITエンジニアの市場が拡大していくことに反して、30~40代のエンジニアの従来のスキルでは需要とかみ合わない状態です。

しかし、働き盛りの中高年で人材不足を解消することが早急に求められています。

そこで、経済産業省と厚生労働省が立ち上げた「Reスキル講座」が注目されています。

Reスキル講座とは、30~40代エンジニアの最先端技術学習をサポートすることが目的。

経済産業省と厚生労働省が認定する講座の受講者に対して受講費用が最大で7割補助される予定です。

年間で56万円が上限とされているので、スキルアップ学習がよりしやすくなります。

この制度をうまく利用して、ITエンジニアとしての再起をかける中高年が期待されているということです。


フリーランスという働き方

新卒フリーランス


働き方の変化や年金の減少に伴い、副業を可能とする企業も増えています。

また、フリーランスの税負担の軽減など、フリーランスとしての働き方が後押しされ始めています。

これからはフリーランスのITエンジニアとして働くことを視野に入れていくこともおすすめといえるでしょう。

とくにITエンジニアのフリーランス案件は高収入なものが多く、副業の中でも高収入な分野です。

企業にとっても部分的に仕事を頼めるので負担が少なく、まさにwin-winの関係になれるでしょう。

子育てや育児で離れてしまう女性エンジニアの活躍も期待されています。

働き方が変化する女性や副業を考えている人ほどITエンジニアを目指すべきといえるでしょう。


これからのIT業界人口

ステップアップ


これからもIT業界の人手不足は続くことが予想されます。

しかし、世界でベースアップを図ることで解消へ導けるのではないでしょうか。

ITエンジニアとして高収入を目指すならスペシャリストを目指すべきです。

副業やフリーランスとして案件の多いITエンジニアになることで、理想の働き方も実現させることが可能になります。

これからはすべての人がITスキルを持つことでメリットを得られる環境になっていくことでしょう。

今からITスキルを身に付けて、ITエンジニア不足を解消に導けるのはあなたのスキルかもしれません。