IoTベンチャー企業一覧をご紹介!エンジニアとして必要とされる人材とフリーランス向け案件の内容は?IoT注目企業も確認
はじめに
IoT(Internet of Things:モノのインターネット)業界が盛り上がっています。
文字通り、産業機器や家電といった世の中の様々なモノをインターネットに接続してより便利に使おうという試みのことです。
チップの高性能化やネットワーク技術の進歩によりさらに発展していくと考えられ、IDC Japanからはここ数年で国内IoT市場は10兆円を超えると発表されました。
そんな中、注目されているのがIoT系のベンチャー企業です。
ここでは選りすぐりの注目企業や、IoTベンチャーの案件内容、必要とされるエンジニア人材について紹介します。
IoTベンチャーについて
壮大なプロダクトイメージに反して、実はIoTサービスや機器の開発にはそこまで大きな投資や人数が必要とされません。
モノへの組み込みを想定しているため、一つ一つの開発内容は小規模であることが多いためです。
このことから、IoTの業界には多くのスタートアップが存在します。
中にはVCや大企業から数十億円単位の資金提供を受けている会社もあり、注目度の高さがうかがえます。
次項から具体的なベンチャー数社を参入業界ごとに紹介します。
製造系IoTベンチャー
製造現場では様々な機器や設備が使用されていて多くは自動化されているものの、まだ人手でしか解決できない課題が多くあります。
下記はそんな課題に切り込み、生産効率の向上に貢献するIoTベンチャーです。
株式会社スカイディスク
スカイディスクは、AIを活用し製造現場を業務改善するサービスをワンストップで提供している会社です。
設計開発・生産・品質管理・設備保全といった、工場内の各工程ごとに合わせたソリューションを開発しています。
代表サービスである「Sky AI」では、機器等の時系列データを解析し異常を検知し通知するAPIです。
また、スマートフォンのマイクから取得した音声データから異常診断を行うサービスもあります。
株式会社シナプスイノベーション
1984年に操業されたシナプスイノベーションは、IoTベンチャーの中では老舗の部類に入る企業です。
生産管理・原価管理をIoT技術でサポートする「J WALD」が代表製品であり、物資の在庫管理やロットトレースによる品質管理、原価管理を行います。
他にも、カメラとスイッチセンサーを用いて生産のサイクルタイム計測を行い、工程上のムダ検知や改善をサポートするサービス等も有名です。
福祉系IoTベンチャー
バリアフリーが浸透した今でも障害のある人や要介護の人、またそういった人々をサポートする介護者にとっては生活や業務に不便なことがまだまだ多いです。
下記のベンチャーは、そんな不便さを解消するために設立されました。
WHILL株式会社
車いすの自動運転システム等を開発しているのがWHILLです。年齢や障害の有無によらず、誰もが乗りたくなるような車いすを目指して設立されました。
通路の長い空港内や大規模商業施設内での移動シーンを想定した車いすのシェアリングサービスを提案しています。
乗り捨てた車いすが元の置き場所であるステーションまで自動運転で戻る機能等を開発中です。
これまでに80億円を超える投資を受けています。
トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社
トリプル・ダブリュー・ジャパンでは、排泄予知デバイス「DFree(ディーフリー)」を提供しています。
これは、膀胱の位置の腹部表面に超音波センサーを貼り付けることで膀胱の膨らみを検知し、排泄のタイミングを通知できるデバイスです。
障害や病気等、何らかの理由で排泄に困難を抱える多くの人をサポートしています。
また介護施設での需要も高く、入居者の排泄タイミングが事前にわかることで介護士の業務効率UPが可能です。
ビッグデータ系IoTベンチャー
IoTはビッグデータ技術との相性が良く、IoT機器から取得した膨大なデータを解析することでマーケティング等に活用できるため、データ自体が価値を生みます。
下記はビッグデータ収集のためのデバイスやその解析サービスを価値として提供する企業です。
株式会社ABEJA
ABEJAは小売店向けの店舗解析サービスを提供しています。
店舗内に設置したカメラから消費者の行動データを取得・解析することで動線や陳列方法の改善提案等が可能です。
ABEJAが集めたビッグデータを活用し確率した独自のディープラーニング技術により、非常に高い精度で消費者行動が解析・指標化されます。
ミツフジ株式会社
元は京都西陣織の工場であったミツフジでは、繊維業とIoTを組み合わせた衣料型デバイスを用いた生態情報活用サービス「hamon」を提供しています。
心拍・呼吸数・湿度等の人体から発せられる様々な生体データを取得、独自アルゴリズムを適用することで体調や行動の解析が可能です。
これらのデータを医療・保険・見守り・マーケティング等の分野で応用することを提案しています。
ロボット系IoTベンチャー
ロボットや自動車の自動運転等は、遠い未来の技術と思われていましたがここ数年で急成長しています。
機械の自動制御に関わる様々なIoTを支えているのが下記の企業です。
株式会社ZMP
ZMPは自動運転技術やロボット技術の開発を行っている会社です。Aiboで有名なソニーとの連携や、コマツ・インテルからの出資も受けています。
画像認識技術やモーションセンサ技術を活用し高精度で車体を自動制御可能です。
自動車業界に制限せず、物流支援や教育支援・見守りといった分野にも展開しています。
株式会社アプトポッド
アプトポッドでは車両の挙動把握やデータ収集のためのIoTデバイスおよびサービスを提供しています。
その他、産業機器のモニタリングやスマートフォンを活用したデータ収集および解析技術の開発も得意です。
さらに、このような膨大なデータの高速転送を可能にするプラットフォームの提供も開始しました。
Global Mobility Service株式会社
Global Mobility Serviceでは、Mobility(乗り物)とFintechとIoTをかけ合わせたサービスを提供しています。
従来のローンでは審査が降りないユーザーに対しても、独自のIoTデバイスを搭載する条件付きで融資するのが特徴です。
万が一返済が滞った場合にはデバイスにより車両が制御されて返済を促すようになっています。
プラットフォーム系IoTベンチャー
IoTでは、小さな機器が経常的にネットワークに繋がることから、従来のスマートフォン等のパーソナルデバイスとはユースケースが異なります。
この理由から、IoTサービスの実現には従来と異なる特別な仕組みが必要です。
下記の企業では、そんなIoTを支えるプラットフォームを提供しています。
株式会社ソラコム
MVNO事業者(仮想移動体通信業社)として、IoTデバイスに特化したデータ通信SIMを提供しているのがソラコムです。
スマートフォンで通信をするためのMVNO事業者としてはドコモやソフトバンク等が挙げられますが、こちらはIoTデバイス向けという特徴があります。
2015年のサービス開始以降、IoT業界の盛り上がりと共に契約回線数は100万を超えました。
ソナス株式会社
ソナスは東大発ベンチャーで、IoTを支えるための省電力無線通信技術「UNISONet」を提供しています。
従来のIoTデバイス通信では、消費電力が大きい、通信可能範囲や速度に制限がある、電波干渉が大きい、といった問題がありました。
同社が独自に開発したデータ転送方式によりこれらの問題を解消することが可能で、製造業界や土木業界への導入が進んでいます。
スマートホーム系IoTベンチャー
生活家電や家具にIoTデバイスを取り付けて、遠隔やスマートフォンからの操作を可能にするスマートホーム構想はIoTの主流業界の一つです。
下記の企業では、そんなスマートホーム技術に強みを持っています。
株式会社Photosynth
何の変哲もないドアに取り付けるだけで、自分のスマートフォンを鍵代わりにしたり入退管理ができる。
そんなデバイスをいち早く開発したのがPhotosynthです。
近年はスマートフォンのみならず、NECとの協業により、顔認証でも解錠や入退管理ができるようになりました。
株式会社グラモ
グラモでは、スマートフォン・タブレット・スマートスピーカーをリモコン代わりにして様々な家電を操作できる「iRemocon」サービスを提供しています。
また、スマートロックを始めとした自社開発デバイスもあり、同様にiRemoconで操作が可能です。
スマホアプリからは、部屋の湿度や明るさを元に自動で家電を操作するようにカスタマイズすることもできます。
IoTエンジニアとして必要とされる人材
それでは、これらの魅力的なIoTベンチャー企業ではどのようなエンジニア人材が求められているのでしょうか。
組み込み開発経験がある
IoTデバイスの開発にあたっては、それを制御をするためのファームウェアを開発する必要があります。
家電メーカーや産業機器メーカー等で組み込み開発に携わった経験があれば重宝されるでしょう。
とはいえ、アーキテクチャごとに開発ノウハウがかなり異なるため、経験のないハードウェアでは苦労するかもしれません。
それでも、特にデバッグ方法等に癖があるので、上層レイヤのソフトウェア経験しかない人材と比べれば免疫があるという点でかなり有利です。
サーバーサイド開発に明るい
IoTベンチャーでは単にIoTデバイスを提供して終わりではなく、それを活用したサービスまで提供しているケースがほとんどです。
そのため、サービスを支えるサーバー開発や運用が重要になっています。
特にIoTサービスでは膨大な数のデバイスからリクエストを受けるケースもあるので、ユーザー単位でアクセスされるような従来型のサービスとは要件が異なります。
PHPやRuby、Pythonといった従来の主流言語に加え、俊敏に動くKotlinやGO言語が使えると大変重宝されます。
フロントエンドやアプリの開発に詳しい
IoTは「モノのインターネット」ですが、これらを活用した全てのアウトプットはもちろん人間であるユーザーのためにあります。
快適なユーザーエクスペリエンスを実現するフロントエンド技術やスマートデバイス向けのアプリケーションの開発が必要です。
ただ、IoTサービスの肝部分ではないため、フリーランス向けにアウトソースされることもあります。
IoT企業のフリーランス向け案件例
フリーランス向けにはどのようなIoT企業案件があるのでしょうか。
高単価の案件
ここまで見てきてお気づきかもしれませんが、IoT業界ではビッグデータ技術やAI技術の活用が大前提となっています。
そのため、「AIエンジニア」や「機械学習エンジニア」、「データサイエンティスト」といった職種での募集が多いです。
必須スキルとしてはPython言語、R言語による統計解析、深層学習や機械学習に関する知見がよく挙げられています。
人気上昇中の分野ではありますがまだまだ人材が不足していて学習コストも高いことから案件単価が高く、業務委託では月 100万円以上の案件もあります。
それ以外の案件
単価は上記ほど高くはありませんが、コーポレートサイトの構築や、フロントエンド系の開発案件が多くあります。
ブラウザ用の開発に加えて、スマートフォン用アプリの開発や、UIデザイン等も多いです。
まとめ
注目のIoTベンチャー企業と、そこで求められるエンジニア人材、フリーランス向け案件について紹介しました。
破竹の勢いで成長しているIoT市場ですが、なかなかエンジニアの供給が追いつかず苦労している会社も多いです。
新しい業界のため、キャッチアップに苦労することもあるかもしれませんが、必ずスキルアップに繋がるため興味があればぜひ応募してみましょう。