現代におけるIT処理は各方面多岐に渡り、IT処理の国家試験は能力、目的に合わせて項目細分化された資格試験になっています。

今回はその中でもネットワークスペシャリスト試験(レベル4)について解説します。

合格までの流れ、資格を取得した後の年収や手当、また独学で試験に合格するための必要時間などを紹介していきます。


ネットワークスペシャリスト試験

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今やITを使用して仕事や業務遂行する人は相当数います。

OJTで学んだスキルを武器として活かしたい、もしくはフリーランスで人生100年時代に備えたいと考える方もいると思います。

そこでITに従事されている方に有利な資格がネットワークスペシャリスト試験です。

こちらの資格を得る事で、信頼度が大きく増し、高い評価を得ています。

情報処理技術者であれば誰でも受験可能です。


ネットワークスペシャリスト試験は人気の国家試験

ネットワークスペシャリスト試験は2017年に日経SYSTEMSで行ったアンケートで、「IT試験でこれから取りたい資格」で4位に選ばれました

一般的にネットワークスペシャリスト試験に合格するにはプログラミングスキルの取得、SIerと呼ばれる会社で3年以上OJTで就業することが近道といわれています。

ITの仕事は専門的な上、様々なスキルが求められることが多いです。

その中でもネットワークススペシャリストは会社の情報システムの運用とセキュリティに正確・迅速・丁寧に対応できるリーダーの資質も必要となります。

ネットワークの基盤から保守まで一連の運用と情報セキュリティ関連にも精通している事が条件となりますの。

そのため試験に合格するとITスキルの高さが認定された事になります。

履歴書に堂々と記入できますし、フリーランスとしても十分に働くことが可能になるでしょう。

実際に高水準の給与や報酬で募集が行われています。


ネットワークスペシャリスト試験のスケジュール



試験は秋期に行われ1年に1回、毎年10月の第3日曜日に開催されます。いつでも受験することができる試験ではないため、対策を練るのは試験日から逆算して行いましょう。

毎年受験者は全国で約20,000名で、合格率は20%を下回る難易度の高い試験になります。

願書の受付は毎年7月中旬から8月中旬の約1ヶ月間が受付期間で、試験は全国で行われます。

試験は午前Ⅰ・Ⅱ、午後Ⅰ・Ⅱで分けて行われます。午前中は四肢択一問題が出題され、午後は記述式問題が出題されます。


ネットワークスペシャリスト試験について

この試験は誰でも受験可能ですが、テクニカルスペシャリストとして高度情報処理技術者向け(レベル4)の国家試験のため非常に取得が難しい試験です。

ネットワークエンジニアとしての知識と実践能力が求められます。


合格ライン

午前Ⅰ試験、午前Ⅱ試験、午後Ⅰ試験、午後Ⅱ試験のすべての試験で60点以上獲得すれば合格です。


ネットワークスペシャリスト試験の流れと出題範囲

ネットワークエンジニアとしてネットワークシステム要件定義、知識に対しての理解と正確さ、実践行動と知識を的確に解説し記述する能力が求められます。


午前の一部における試験免除制度

以下の試験のどれかに合格している、もしくは一定以上の基準点取得者は、2年間午前Ⅰ試験が免除されます。

難易度の高いITの試験では、一定の基準を満たすと一部の試験内容が免除になる傾向があるようです。


午前Ⅰ試験 9:30~10:20(50分)

高度試験共通問題です。多肢選択式 (四肢択一) で出題数30 問、要解答 30 問です。

配点は1問あたり3~4点、合格ラインは100点満点中 60点以上の獲得が必要です。

共通知識試験となり四肢択一式で30問出題されます。

大きくテクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系の3つに分かれています。

テクノロジ系では、基礎理論・コンピュータシステム・技術要素・開発技術、マネジメント系ではプロジェクトマネジメント・サービスマネジメント、ストラテジ系ではシステム戦略・経営戦略・企業と法務が出題されます。

テクノロジ系の中の技術要素分野のセキュリティは技術分野としてのレベルは3で、項目としては重点項目に指定されています。

多岐に渡り幅広い知識が必要です。


午前Ⅱ試験 10:50~11:30(40分)

多肢選択式 (四肢択一) で出題数25問、要解答 25問です。配点は1問あたり4点、合格ラインは100点満点中60点以上の獲得が必要です。

出題範囲はテクノロジ系でレベル3のコンピュータ構成要素・システム構成要素、システム開発技術・ソフトウェア開発管理技術、レベル4のネットワーク・セキュリティとなります。

マネジメント系からはプロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、ストラテジ系からはシステム企画、法務が出題範囲となります。


午後Ⅰ試験 12:30~14:00(90分)

記述式で出題数3 問、要解答 2問です。

配点は1問あたり50点で合格ラインは100点満点中 60点以上の獲得が必要です。


午後Ⅱ試験 14:30~16:30(120 分)

記述式で出題数2問、要解答 1問です。合格ラインは他の試験同様100点満点中 60点以上の獲得が必要です。

午後Ⅰ試験、午後Ⅱ試験については、以下の分野から詳細項目について出題されます。

  • ネットワークシステムの企画・要件定義・設計・構築に関すること
  • ネットワークシステムの運用・保守に関すること
  • ネットワーク技術に関すること
  • ネットワークサービス活用に関すること
  • ネットワークアプリケーション技術に関すること


難関のネットワークスペシャリスト試験の勉強方法



記述式問題が合格へのカギ

ネットワークスペシャリスト試験を受験する方のほとんどが、ある程度の知識があり職業としている方だと思います。

知識がある程度あれば、試験の為に繰り返しテキストを読んで、過去問題や模擬問題をこなしていけば合格ラインにたどり着くことでしょう。

しかしながら、この試験でほとんどの人が苦戦を強いられているのは午後に行われる記述式です。

実際現場でエンジニアとして活躍していて、職場でスキルを認められている人でも、ネットワークスペシャリスト試験の合格率が低いのは、「論述」の記述が慣れていない人が多いためです。

出題に対して理解していることをいかに「簡潔で、要点をまとめた的確な文章」で記述できるかが重要になります。


独学でも合格は可能か?

実際にITの仕事の従事しながら、自身で参考書や対策問題集を手に入れて受験する人もいます。

また、一人では要領よく学べない、弱点が克服できないという方で通信教育を利用する人もいます。

これらを利用すれば独学も可能ですが、通信教育の場合半年の準備期間を設けて学んでいく事になります。

また、課題形式で問題もこなすため多忙な時間の中から勉強する時間を生み出す必要があります。

対策としては、DVD講座やWEB講座などを何度も視聴したり、参考書を熟読し、繰り返し問題を解いていく事が大切です。

記述試験については何度も「簡潔に正確に伝える文章」を書ける練習をしていくことが合格への近道です。


独学でどのくらい勉強が必要か

仕事をしながら試験に向けて独学で勉強し合格しているネットワークエンジニアもたくさんいます。

中堅のシステムエンジニアも独学で勉強して合格した人もいます。

では、完全独学で合格を目指す場合、どのくらいの学習時間が必要なのでしょうか。


独学で試験に挑む場合

午後Ⅰ試験免除者で、論述が得意、慣れている人は20時間程度で試験に挑む人もいます。

一般的に半年以上かけて試験準備をする人が多いようです。

なお、午後Ⅰ試験も受験する場合はITエンジニアの人で20時間以上の学習時間を要するといわれています。


通信講座などを受講して試験に挑む場合

大手専門学校などでWEB通信講座を行っています。

受講者が真剣に取り組めば、かなりの確率でレベル4のネットワークスペシャリスト試験に合格しています。

受講費用が必要ですが、担当の講師に質問が可能でサポートもしっかりしています。

受講の募集は試験の6ヶ月前から行っているところが多いようです。


フリーランスとして働くには



ITネットワーク運用・保守などの固有技術は、この先も安定し、さらに拡大していく業界であるとされています。

業界ではネットワークの構築、保守、運用できる人材が圧倒的に不足しています。

また、時代の流れで働き方革命が本格的になってきており、フリーランスのエンジニアを確保したい人材登録会社も多数存在します。

フリーランスで働くエンジニアの中には高度国家資格を取得していない人もいます。

ネットワークエンジニアとしての業務を理解し、冷静に正確な仕事ができれば経験だけで業務委託を請け負うことも可能でしょう。

ネットワークスペシャリスト資格保有者になると、信用度が大幅にあがり優秀な人材として業務委託を請け負うことが出来ます。


フリーランスで働く資格保有者の年収は?

ソフトウェア開発企業のオフィスで働くプログラマー


業務委託を受ける際に、ネットワークスペシャリスト資格保有者は大きな信頼と大幅収入アップに繋がります。

業務委託の発注者がいなくてもネットワークエンジニア専門の業務仲介会社に登録した場合、有利な条件で仕事を紹介してもらうことが可能です。


業務委託で月額50万円から100万円での依頼があることも

国家試験であるネットワークスペシャリスト試験に合格していれば、IT知識が豊富でスキルの高い人材として扱われます。

もちろん請け負う仕事もそれなりにスペックの高いものになりますが、自分のペースで周囲に左右される事なく納期までに納品する、もしくは継続的にネットワークを管理することになります。

あるフリーランスエンジニアサポート会社では、ネットワークエンジニアの平均年収が約810万円としています。

IT世界固有の専門知識を持つ人は特に貴重な人材として重宝されています。

サラリーマン時代と同じ仕事をしていても、独立しフリーランスになってきちんと契約通りの仕事を自分のペースでこなしていけば年収が2~3倍アップすることもよくある話です。


フリーランスで働く資格保有者として



資格の保有は仕事の安定に繋がる

フリーランスの場合、業務を委託してくれる企業が無ければ安定した収入に繋がりません。

自分がかつて勤務していた会社から仕事を請け負うことができる環境を整えたりすることも大切です。

ネットワークスペシャリストの資格を保有することは仕事の安定に繋がります。

出来高での収入・報酬になるため状況によって収入が少なくなってしまうこともありますが、資格があることで報酬が高くなる、資格を持っていない人よりも仕事を獲得しやすいというメリットがあります。

自分のライフスタイルで仕事を行う、仕事量を調節することができるのがフリーランスの魅力です。

業務委託先の業績不振で突然契約が打ち切られることも可能性としてあるため、自分の仕事を安定させるための武器として資格を持っておくといいでしょう。


自己研鑽を怠らない、相談できる理解者は少なくなる

IT業界のネットワークについて十分理解し、独立しても一人で冷静に対処できるだけの固有技術が必要となります。

常に革新していくIT世界ですので、有資格者でも自己研鑽を怠るとネットワークエンジニアとしての質も評価も悪くなってしまいます。

フリーランスになると会社員の頃と違い、相談に乗ってくれる人が少なくなる可能性があります。

エージェントなどが主催するフリーランスの交流会があるので、積極的に参加することでその点は解消できるでしょう。

また、多忙な中でも常に新しいことに敏感に吸収していくことを怠ってはいけません。


フリーランスは個人事業主である

確定申告の提出書類


必ず覚えておかなければいけないのが、フリーランスは個人事業主という点です。

報酬は全額収入として支払われますが、経理面は自身で確定申告しなくてはなりません。

人材派遣会社に登録して、一定期間の就業であれば収入の申告は不要ですが、フリーランスになると収入、経費をきちんと管理する必要も出てきます。


取得して損はないネットワークスペシャリスト



ITを専門に従事している人ならぜひ取得したい高度レベルの国家試験です

中にはリストラされてもいいように日常の仕事をこなしながら合格した人もいます。

合格することで自身のITへの評価が大きく変わり、収入に手当がついたり、大幅アップが期待されます。

フリーランスで業務をはじめるためにも有利な資格です。

合格をめざすために学習時間も確保しなくてはいけませんが、ITネットワークエンジニアのプロとして大きなステップアップと信頼につながることでしょう。