大人気言語として注目を集めているPython。

シンプルで学習しやすいので、これから習得しようとしている人も多いのではないでしょうか。

しかしながら、Pythonを手探りで習得していくことはかなり大変です。

そんな人の助けになってくれるソフトとして、「Anaconda」があります。

「Anaconda」の魅力や、並んで人気のある「Pycharm」との違いなども見てみましょう。

これからPythonを学ぼうと考えている人は必見です。

AnacondaとPython



AnacondaはPythonを使って、科学技術計算やAI開発を行ってみたいと考えている人向けのパッケージソフトです。

開発元はAnaconda.Incで、以前はContinuum Analiticsと称していた会社でした。


人気のPython

数あるプログラミング言語の中で、近年人気化しているのがPythonです。主要な用途は科学技術計算。

もともとこの分野で使い勝手の良いプログラム言語は、MatlabMathematicaなどがありました。

しかしこれらを使用するには、高いライセンス使用料を払わなければなりません。

ところがPythonはオープンソースなので無料で使用できます。

もともとPythonという言語はシンプルな思想で作られているのでビギナーにもおすすめの言語でした。

そこにGoogleが提供するサービスでPythonを対応言語にしてから、さらに人気に火がついたのです。

「Google App Engine」というサイトでは、Pythonが標準言語に採用されています。

さらに2015年ころからPythonと組み合わせて活用できる機械学習やAI(人工知能)に関するライブラリが続々と発表されました。

これにより人工知能関連技術に関係する人々の間で、Pythonは爆発的人気を博するようになったのです。


Pythonの特徴:ライブラリ

Pythonの核である本体は、必要最小限の機能しかもっていません。

ユーザーは自分の専門分野に応じて、豊富なライブラリから適切なものを選んでインターネット上から無料でダウンロードする必要があります。

「本体」と「ライブラリから取得したツール」の組み合わせで、Python本来のパフォーマンスを発揮していけるようになるのです。


Anacondaとは

正しいドアを選択するビジネスマン


Anacondaは、Python本体と共に必要なライブラリやその他のツールをパッケージにしてある、いわばオールインワンのソフト。

ディナーでいえば訳もわからずに手当たり次第に店に飛び込むのでは無く、ミシュランの星がついた店に安心して入るようなものです。

ところで、PythonはイギリスのBBCが放映したことで有名な「空飛ぶモンティ・パイソン」というコメディから取った名前でした。

「パイソン」というのは「ニシキヘビ」のこと。そして、「アナコンダ」というのはいわずと知れたアナコンダ属の大きなヘビのことです。

従って両方とも「ヘビ」ということで、ネーミング上も親和性をアピールしているといえましょう。


Anacondaを使うメリットとデメリット


Anacondaを使うメリット



Pythonを使ってみたい人は、PythonをWebからインストールすれば手に入ります。

Pythonは確かに科学技術計算や機械学習に向いている優れた言語です。

しかし実際に使用するには、関連する多くのモジュールやツールを別途個別にインストールしなければなりません。

もしPythonの初心者だったら、Pythonが自在に動ける環境を構築するだけでも大変な手間がかかってしまいます。

何よりも、どのようなツールをインストールすれば良いのか分からない人も多い筈です。

その結果スタート時に戸惑いを覚え、時には苦手意識を持ちかねないでしょう。

一方AnacondaはPythonそのものに加え、取り組む上でとりあえず困らないソフトのパッケージを一括して揃えてあるのです。

そのためAnacondaをインストールしてしまえば、大概のことができるようにセッティングされます。

これがAnacondaを使用する大きなメリットとなるのです。


Anacondaを使うデメリット

仕事が忙しい


初心者にとっては、パッケージでとりあえず必要なものがセットアップできる点で、手軽に助けてくれる強い存在なのがAnacondaです。

しかしある程度Pythonに通じている人ならば、Anacondaによる半ばお仕着せの環境は煩わしく感じるかも知れません。

この点がデメリットといえるでしょう。

従ってPythonを自分の思うままに扱える環境で作りたい人には、過剰なものや逆に不足しているものが多くて向いていないかもしれません。


Python環境インストールの手順:Windowsの場合

女性プログラマーを横から撮影した写真


AnacondaはWindowsおよびMacOS、そしてLinux向けのパッケージソフトを用意しています。

最初にWindowsにインストールする場合を説明しましょう。

  1. まず、インターネット上でAnaconda Distributionのダウンロードサイトへアクセスします。
  2. 次に、3つ並んでいるロゴの一番左の「Windows」をクリックする。
  3. 「Anaconda 2019.03 for Windows Installer」が表示される筈です。
  4. 左側の「Python 3.7 version」の方をクリックします。
  5. より最新のバージョンがあったらそれを選んでください。クリックすればダウンロードが開始されます。
  6. ダウンロードが済んだらダブルクリックして起動します。
  7. 「Welcome to Anaconda3 2019.03(64-bit)Setup」が表示されたら「Next」をクリックしましょう。
  8. Agreementが表示されるので、「I Agree」をクリックします。
  9. Select Installation Typeとの指示があるので、「Just Me(recommended)」をクリックし、「Next」を選択。
  10. Choose Install Locationの指示には表示されているフォルダを選んで「Next」をクリックします。
  11. Advanced Installation Optionsには、上下両方にチェックをして下欄の「Install」をクリック

それでインストールが開始です。

  1. 「Installation Complete」が表示されたら「Next」をクリックします。
  2. 次に「ANACONDA」のロゴが大きく表示された画面が出たら「Next」をクリック。
  3. 「Thanks for installing Anaconda3!」のメッセージが出たら、「Finish」をクリックして終了です。

Pythonで作成したプログラムを実行する際に必要となるpython.exeは、Pythonをインストールしたディレクトリに保存されています。

Python.exeが保存されているディレクトリにPATHを設定しておけば、任意のディレクトリからPython.exeを実行することが可能です。


Python環境インストールの手順:MacOSの場合



次に、MacOSの場合のインストールの手順を説明します。

  1. Anaconda Distributionのダウンロードサイトで真ん中の「MacOS」をクリックしてください。
  2. 左側の「Python 3.7 version」の方をクリックします。最新版を選びましょう。
  3. ダウンロードが済んだらダブルクリックして起動します。メッセージが出たら「続ける」をクリック。
  4. 「ようこそAnaconda3インストーラへ」の画面になったら「続ける」をクリックします。
  5. 「大切な情報」の画面も「続ける」をクリックしてください。
  6. 使用許諾契約」画面が出ますので「続ける」をクリック。
  7. 「使用許諾契約」については「同意する」をクリックします。
  8. 「Macintosh HDに標準インストール」が表示されたら「インストール」をクリック。
  9. 「新しいソフトウェアをインストールしようとしています」のと出たらパスワードを入力してください。
  10. 「インストールを準備中…」から次に「制御を許可する…」のメッセージは「OK」をクリックします。
  11. 残り時間がゼロになって、「ANACONDA」のロゴが大きく表示された画面が出て来たら終了です。


Anacondaの使用方法

プログラミング言語Python試験


Anacondaのインストールが確認できたところで、早速Python環境を試してみましょう。


condaコマンド

Anacondaにインストールされているcondaコマンドを使用することによって、Anacondaを自在に使用することができます。

condaコマンドを実行するためにはAnaconda Promptを利用しましょう。

現在インストールされているパッケージバージョンは最新ではない可能性が高いため、アップデートしておいてください。

conda update-allを実行すればライブラリを更新できます。

ライブラリの一覧表が表示されたら「y」をエンターすれば最新バージョンになるはずです。


Anaconda Navigaterの起動

若いビジネスマンがオフィスでラップトップPCを使い働いている


ライブラリに関する操作はAnaconda Navigaterによって行います。

インストールされているライブラリが画面に表示されているので、当該アイコン(Launch)をクリックすればライブラリが起動。

まずは自分の好きなツールでプログラミングをしましょう。

Pythonで作成されたファイルはパッケージ管理システムによって保管されます。

これはpipと呼ばれるパッケージソフトウェアをインストール・管理するためのシステムです。

Jupyter Notebookを使ってみる



実際にAnaconda Navigaterから選んでツールを使ってみます。


Jupyter Notebookの起動

ライブラリのひとつ、Jupyter Notebookを起動してみましょう。

このツールでWebブラウザ上でPythonのプログラムを動かすことができます。

またノートブックにプログラムや説明、実行結果等を記録も可能。併せてデータ分析も進められるのでデータ解析をするのに便利です。

Jupyter Notebookは

  • グラフ描画が可能
  • コード実行が1行ずつできる
  • コードの自動添削機能

が揃っている優れものです。

AnacondaでこのJupyter Notebookが使えるということは、アピールポイントになっています。


機動手順

Jupyter Notebookはブラウザ上で全ての作業を行ってくれるものです。

  1. Anaconda Navigaterで「Jupyter Notebook」を起動します。
  2. まずデフォルト画面で「New▼」をクリックしてください。
  3. Python3を選択すると、新しいタブが表示されノートブックが作成。
  4. セルの部分にPythonのコードを書くと実行できます。

早速プログラムを書いて実行してみましょう。


VSCodeを使ってみる

ビジネスマンの手元のクローズアップ


Anaconda NavigaterにはVSCodeも入っています。これはどのようなツールなのでしょうか。

「VSCode」はマイクロソフト社作成のプログラミング総合開発環境のこと。

Pythonのフレームワークでwebアプリを作成する時に使用するものです。

マイクロソフト社はVSCodeを「クラウド開発用の協力かつ軽量なコードエディター」と謳っています。

VSCodeはそれほど強力な編集機能とデバッグ機能を有しているということです。

「定義へ移動」や「すべての参照を検索」などの機能を利用すると、大規模なコードベースでの移動が簡単にできます。

さらにブレークポイント、完全なコールスタック、対話型コンソールなどを使用し、エディターで直接コードをデバッグすることが可能です。

この他、VSCodeは生産性を向上させるための機能が搭載されています。

Anaconda Navigaterからインストールして使ってみましょう。


日本語化


VSCodeは日本語版がない

ノートパソコン


日本語での提供がされていないVSCodeの日本語化をしてみましょう。

なお、英語のままでも平気な人は以下の作業は不要です。


VSCodeの日本語化手順

  1. 「file」→「Preferences」→「Extensions」を選択します。
  2. 検索バーに「Japanese Language Pack for Visual Studio Code」を入力の上、インストール。
  3. コマンドパレット(F1)を開いて「language」を入力しましょう
  4. 「Configure Display Language」が該当するのでクリックするとlocal.jsonのファイルが開きます。
  5. 「en」を[ja]に変更して保存すれば、再起動後には日本語化されている筈です。


AnacondaとPycharmとの違い


Anacondaと並んで人気のあるPycharm



Pythonユーザーの間では、「Pycharm」のファンも多いようです。

ここまで説明してきたAnacondaとはどのような相違点があるのか、説明しましょう。


AnacondaとPycharmの違いとは

Anacondaは既に説明したように、ある程度快適なPython環境をまとめて手に入れられるパッケージです。

そしてその中のNavigaterにはプログラム編集に役立つJupyter Notebookやその他のツールが入っています。

一方Pycharmは「Python IDE for Professional Developers」として提供されているツールです。

つまり「プロ仕様のツール」と銘打っているだけあって、プログラム編集に特化した便利な機能を満載しているツールといえます。

例えばPycharmはPyFlakesを使用して、リアルタイムにコードチェックを行うのです。

また、警告箇所を適切に修正する機能も持っています。

具体的には、プログラミングの警告箇所の波線部分にカーソルを当てて「Alt+Enter」をすると解決方法を提示してくれるのです。

その他にも英語辞書が入っているので、単語のスペルミスや文法上の誤りを指摘してくれます。

さらに、

  • タイプヒンティング
  • コード検索機能
  • TODO一覧機能
  • リファクタリング機能
  • ファイルテンプレート

など豊富なデバッグ機能が搭載されているのです。

このようにPycharmはPythonをある程度使用して、熟達している人に便利な機能を提供しているといえます。

一方Anacondaは、あまり強いこだわりのないPythonユーザー向きです。

使いやすい機能をオールラウンドに提供しているといえるでしょう。


AnacondaでPython環境を使いこなそう

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もしもこれからPythonでプログラミングをしたいと望んでいる人がいたら、Anacondaの情報は相当役に立つはずです。

人気に乗じていざ始めようと思っても、Pythonのライブラリや便利な周辺ツールを自分一人で探すのは大変な苦労を伴います。

その点、Anacondaをインストールしてしまえば、最初から盤石なスタートを切れるのです。

さらにNavigatorに最初から組み込まれているライブラリ以外にも気に入ったツールを、自分の技量の向上に合わせて追加していけます。

Anacondaをインストールして最初からアドバンテージを得れば、Pythonへの取り組み姿勢もよりポジティブになれるでしょう。


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