RPAエンジニアとは?SE、PGとの違い

ノートパソコンで作業する男性


RPAとは、事務の業務を自動化して作業を軽減したり、業務を効率化させることです。

IT技術者といっても、SEやPGといった職種の違いはありますが、RPAエンジニアは、その名の通りRPA導入に関わる技術者ということになります。

「デジタルレイバー(仮想知的労働者)」という別名もあるRPAは、ソフトウェア上で人の作業を代替させるものとして急速に拡大しています。

事務処理の多い企業からは引き合いも多く、今後ますます利用が増加すると予想されます。

RPAエンジニアは単純作業の事務処理を自動化することに特化しています。

企業がRPAをどう導入したらよいのか、エンジニアは導入から開発、アフターフォローといった全ての場面で関わります。

SEやPGが言語を使ってシステム開発をするのに対し、RPAエンジニアはツールを使って構築できるため、プログラミングの知識が不要です。

ただし、導入・開発・保守・運用といった面でクライアントの要望や問題点を理解し、実現していくという点では他のIT技術者と同じといえるでしょう。


RPAエンジニアの仕事内容は?



RPAエンジニアの仕事とは具体的にどのようなものでしょうか?3つの段階に分けてご説明します。


【導入フェーズ】ヒアリングから方向付けまで



RPAを構築するためには、まずクライアントがどの業務をロボットに自動化させたいかを知る必要があります。

そのために、クライアントから現在の業務プロセスをヒアリングし、RPAをどのように適用したらよいのか、内容や範囲を決めていきます。

RPAの構築には、大別して基本形があるパッケージ的なものと、ニーズによって柔軟に構築する場合があります。

どちらを選ぶかは、クライアントの問題点を正確に理解することが必要不可欠です。

この段階で要望を勘違いしてしまうと、その後のRPA構築が大きく軌道のずれたものになってしまいます。

導入フェーズは上流工程にあたるため、ここに関わるエンジニアはRPAを熟知している必要があります。

ツールを使いこなせる技術力だけでなく、クライアントとのコミュニケーションやヒアリングしたことから具体的にRPAを方向付けるスキルが求められます。


【開発フェーズ】RPAの動作シナリオ〜設計・開発



RPA導入の方向性が決まったら、実際に開発に入ります。

RPAには「UiPath」や「WinActor」といった数種類のツールがありますが、完成形をイメージしながら構築していきます。

この時、クライアントが行っている業務をRPAの動作プロセスに落とし込むシナリオを作成することが重要です。

実際にRPAが導入された場合、本当に業務が効率化されているのか、業務の負担が減ったのかは、動作シナリオにかかっているといっても過言ではありません。

動作シナリオは、その後の工程である設計や開発を大きく左右します。

クライアントによってRPAを活用したい目的は多岐にわたります。

RPAエンジニアは、どの業界であっても業務プロセスを理解している必要があります


【保守フェーズ】修正対応や指示、マニュアル作成

RPAを導入し、運用が始まったら保守・運用業務を行うエンジニアが必要です。

実際に稼働させてみると不具合があったり、エラーが出たりといった修正の対応を行い、クライアントへの指示を行います。

場合によっては、よりロボット構築作業を効率化するためマニュアルを作成することもあります。

また、企業内でRPA業務を調整したり、スタッフに説明したりといった業務をRPAエンジニアが担当する場合もあります。


RPAで自動化する具体的な業務内容とは?



RPAで自動化できる業務は範囲が広く、今後の可能性が高いともいえます。

RPAエンジニアは、前述したように自動化したい業務内容を知っておく必要がありますので、実際にRPAが導入されている業務の具体的な例を紹介します。


【経理】請求書処理

  1. 請求書をスキャンし、文字データに変換
  2. 請求データと発注データを照会
  3. 間違いがなければ支払い処理、間違っていれば差し戻す

RPAで自動化することによって、経理担当者が請求書の提出者に質問したり、差し戻す業務が減り、お互いの負担が減ります。


【経理事務】交通費精算

  1. 交通費精算システムに社員が登録
  2. 経路検索などでルートが最安値かチェック
  3. 問題ないと判断したら精算処理、そうでなければ差し戻し

経理事務担当者が経路最安値をチェックし、提出者とのやりとりをする業務がなくなり、時間と業務が軽減されます。


【営業事務】受発注・売上げ管理

  1. 営業担当者が受発注リストを作成
  2. 売上げ金額や個数を商品ごとにシステムへ入力
  3. 発注先へ注文
  4. 注文完了を営業担当、経理にメールで報告

営業担当者が受発注リストを作るだけで自動的に発注が行われ、業務に関わる人数が減るとともに、伝達間違いなどが起こりにくくなります。


【人事事務】社員データの更新

  1. 引越し、結婚、退職などデータを入力
  2. 更新データがあったら、住所録や給与計算など関連のあるデータベースを一斉に更新

RPAによって、社員データの変更があった場合、更新すべきデータベースをすべて自動的に更新できます。

更新もれがなくなり、データの統一が楽に行えます。


RPAエンジニアの年収はどのくらい?

お金 収入


気になるRPAエンジニアの年収の相場はどのくらいなのでしょうか?

IT系エンジニアの中でも年収の違いがあるのかも含めて、見ていきましょう。


RPAエンジニアの年収は日本の平均年収より高め

求人ボックスの調査によると、RPAエンジニアの平均年収は約550万円でした。

日本の平均年収は約440万円という結果であるため、年収には110万円もの差があり、RPAエンジニアの年収は平均より高めであるといえるでしょう。


スキルや業務内容によって年収に差がある

RPAエンジニアの平均年収を見ると高いように見えますが、年収の幅は370万〜1149万円と、大きいことも事実です。

正社員、派遣、フリーランスといった、働き方によっての差や、業務内容や上流工程に携われるかといったスキルによっても差がありそうです。

2018年「ビズリーチ」の調査では、RPAの最高提示年収は3,000万円というものもあり、年収アップの可能性は高いようです。


地域によっても年収に差がある

RPAエンジニアは、地域によっても年収に差があります。

「求人ボックス」によると、一番年収が高いのは東京都の575万円です。

一方で、最も年収が低かったのは北海道の441万円で、134万円という大差がつきました。

近畿地方では平均年収が501万円だったことから、RPAエンジニアは都市圏ほど年収が高いと予測されます。

地域によって、求められることの規模や技術力の違いがあるのかもしれません。


RPAエンジニアに求められるスキルと言語

オフィスでプログラミングをする男性


高い年収が期待できるRPAエンジニアですが、システム開発に使用される言語は必須ではありません。

では、どのような経験やスキルが求められているのでしょうか?


プログラミングのスキルと経験

RPAを構築するにはプログラミングは必要ないと思いがちですが、実際の業務ではプログラムの知識が必要なケースが多くあります。

それは、RPAツールがプログラム言語は覚えなくてもいいが、プログラミングの基礎知識があることが前提として作られているからです。

そして業務にエラーはつきものであり、特にRPA業務では例外ともいえるエラーが目立ちます。

RPA導入後も随時メンテナンスが必要で、さらには業務内容に変更があったり、システム環境が変わったりすることもあります。

それらに対応するには、プログラミングの知識や経験が必要とされるのです。


システム開発のスキルと経験

RPAにおいてどのような種類であってもシステム開発の経験は役に立つでしょう。

プログラミングや言語の基礎知識があることに加え、RPAの構築は、システム開発の工程とほぼ同じ流れであるからです。

中でもクライアントのヒアリングやすり合わせは、目指す完成形への重要な要素ですから、システム開発で上流工程の経験者は重宝されるでしょう。


Excel VBA使用の経験

RPAはこれまで人が行っていた単純な事務作業を自動化することです。

Excel VBAとは、Microsoft Office の拡張機能であり、複雑な処理を自動化させるために用意された簡易なプログラムです。

つまり、Excel VBAで行うデータ処理や設計、構築の過程は、RPAツールを使っての構築に応用がきくということになります。

クライアントの業務理解やRPAのシナリオ作成などに、非常に役立ちます。


RPA技術者検定(WinActor)

プログラムのコード


RPA技術者検定とは、RPAツールである「WinActor」技術者向けの資格です。

「アソシエイト」「エキスパート」「プロフェッショナル」の3段階のレベルがあり、取得するとRPA技術の知識や技術を持っているという客観的な評価となります。


RPAツールのスキルと経験

RPAエンジニアで活躍したいのであれば、当然ながらRPAツールのスキルや経験があれば即戦力になれます。

ツールには数種類ありますが、「WinActor」「UiPath」「Blue Prism」「BizRobo!」といったものが主なものです。

また、技術者としての経験がなくても、RPAのユーザーであったのであればRPA構築に役立つ知識を持っているといえます。

クライアント側の立場に立って、意図をくみ取りRPAの構築に活かすことができるでしょう。


RPAエンジニアの働き方は?

システムエンジニアの男性


RPAエンジニアの雇用形態や働き方はどのようなものでしょうか?

働き方によって年収にも影響が出てくるため、どこを目指すか目標を定めておくと習得すべきスキルもわかりやすくなります。


ITベンダー企業で働く

ITベンダー企業とは、ソフトウェアをはじめ、システムやサービスを販売する会社のことです。

RPAエンジニアは、一般的にこのベンダー企業に就職し、会社が請け負ったクライアントの案件を行います。

B to Bの取引なので大きな案件を扱える可能性が高く、経験を積みたい、スキルアップしたい場合にも向いています。


派遣で働く

RPAは現在導入を検討している企業が多く、エンジニアが不足している状態です。

人材派遣会社にRPAエンジニアとして登録しておけば、定期的な派遣先が期待でき、多種多様な案件に携わることができます。

派遣の場合は時給で働くことも多いですが、「求人ボックス」によると派遣での平均時給は約2,100円と、相場より高い傾向にあります。

通常の派遣社員というイメージとは違い、企業の問題解決に関わる高度な仕事を任せてもらえるでしょう。

また、社員にRPAを教え、業務を行えるようにサポートするという役割もあります。


フリーランスで働く

RPAの上流工程から行えるスキルと経験があれば、RPAエンジニアとしてフリーで働くことも可能です。

働く場所や時間を選ばず、高収入も見込めます。


RPAエンジニアの求人傾向

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RPAエンジニアとして、市場ではどのくらい求人があるのか見てみましょう。


RPAエンジニアの求人は増加中

RPAに関する求人は前年と比較して5〜9倍の増加をしており、かなりの買い手市場となっているようです。

RPA導入を検討している企業が増えていることが求人の増加を促しており、今後もニーズは高まると予測されます。


RPAにおける求人職種

RPA関連の求人で多いワードは、「RPAエンジニア」「RPAコンサルタント」「RPA BPO」となっています。

RPAコンサルタントやRPA BPOともなると、年収の最高提示額は2,000万円にものぼることから、求人の過熱具合がうかがえます。


RPAエンジニアのキャリアアップ

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求人が増加している中、RPAエンジニアは未経験からでも求人があります。

スキルアップして年収を上げるために、どのようなキャリアパスがあるのでしょうか。


RPAエンジニアとして技術を磨く

まだまだ需要に対して技術者が少ないのが実情のRPAですが、RPAのシステム開発に特化して技術を磨き、第一人者となるケースが考えられます。

シナリオから設計・開発の実務経験を積み、プログラミングや言語のスキルも備えながらRPAのスペシャリストとなることで、エンジニアとして独立することも可能となります。


RPAコンサルタントとして上流工程へ携わる

RPAを構築するには、クライアントやエンジニアとのやり取りを中心に行う上流工程があります。

エンジニアとしての知識を持ちながら、RPAの導入や方向付けを受け持つことになります。

現場で開発や保守を行うことはほとんどありませんが、プロジェクトのマネージャー的な工程に携わります。


保守・運用に特化したエンジニア

RPAを導入しても、その後の保守・運用は必要です。

不具合やバージョンアップなどへの対応もあるため、一度RPA導入したクライアントとは長期的かつ定期的な保守・運用が発生するのです。

そこで、保守・運用に特化したエンジニアとして、クライアントの業務内容に精通し、スペシャリストとして最新の技術提供も行います。


RPAエンジニアの将来性は?

フリーランスエンジニア


少子化が叫ばれて久しい中、日本の人口は減少し同時に労働者も減少します。

将来的に人手不足になることは容易に予想できるため、企業は業務の自動化を積極的に進めているのです。

RPAは労働人口の減少に対処する方法として注目度が高く、当然ながらRPAエンジニアの将来性は高いといえます。

しかしながら、まだ歴史が浅く需要に対して技術者が少ないため、RPAエンジニアとして活躍できるチャンスは多いでしょう。


まとめ RPAエンジニアは将来有望な職業

システムエンジニア 面接


RPAは今、IT業界の中でも注目されている分野です。

現在は、需要に対するRPAエンジニアの絶対数が少ないため、この分野で活躍したい人にとってはチャンスです。

派遣やフリーランスといった働き方も選びやすいので、RPAエンジニアとして経験を積み、技術を磨くことは非常に有意義なことといえるでしょう。