はじめに



IT革命により生活の中心になったIT技術、それを扱う多くのエンジニアによって私たちの生活は支えられている現代。

今回はエンジニアの中でもIT技術の動作確認を行うテストエンジニアについて解説していきます。

テストエンジニアとは名前の通りIT製品、パソコンなどの電子機械やアプリケーションソフトが問題なく動くかテストして検査を行うエンジニアです。

様々なテストケースを行ってプログラムの中にバグがないか検証し、精度や品質を管理しています。

テストエンジニアの仕事のおかげで不自由なくIT技術が使えているといっても過言ではありません。

記事内ではテストエンジニアの年収や役立つ資格、激務といわれる理由にも迫っていきます。


テストエンジニアの仕事内容

インフラエンジニア


バグやエラーを見つけることだけがテストエンジニアの仕事ではありません。

なぜバグやエラーが出てしまったのか根本的なエビデンス、さらにその問題に対しての解決策と具体的な改善案を提供しなければならないのです。

単純作業と思われがちなテストエンジニアの仕事ですが、自発的に問題に取り組み解決・改善策の提案も求められます。

企業は自ら提案できるテストエンジニアを必要としているのです。

自発的に仕事ができるテストエンジニアになるとプロジェクト全体のテスト設計や管理を任せられ、ワンランク上の経験を積むこともできます。

ちなみにテストエンジニアとテスターのとの仕事内容の違いはテストエンジニアはテスト計画やテスト設計から改善策まで実施する一方、テスターはテストケースに沿って単純作業を繰り返すのが一般的です。


テストエンジニアの年収

テストエンジニアも技術や仕事量、職場によって当然収入は変わってきます。

ここではテストエンジニアの平均年収とどのような人材になれば収入が上がっていくかをみていきましょう。


日本での平均年収は400~500万円前後

IT社会になりますます需要が高まるテストエンジニアですが年収は平均400万円前後が一般的です。

そこから経験を積みエラーやバグ、テスト設計の修正などスキルが上がるにつれ収入も比例して上がっていきます。

テストエンジニアとして年収500万円以上を得るためにはプロジェクトリーダーとして工程全体の流れをチェックできる人材になるなど複数人のエンジニアをまとめる管理能力が必要です。


国外案件も取れるようになれば収入アップの見込みあり

年収 男性 報酬 お金 アップ


国内の現状ではテストエンジニアの仕事に加え、開発系の仕事も兼業で求人がかけられている場合もあります。

そのためテストエンジニアとしてのスキルのみを磨いてもそのまま収アップに繋がるとは限りません。

しかし国外では日本よりもエンジニア不足の問題が深刻です。

特に世界最先端のシリコンバレーでは人材不足が激化し、テストエンジニアとしてのスキルを極めスペシャリストになることで高額案件を獲得することも可能となります。

テストエンジニアとして収入を上げるにはプロジェクトの管理能力を伸ばすか、より需要のある環境に身を置くことが重要です。


テストエンジニアの役立つ資格



年収アップに必要不可欠なスキルの向上ですが、自身のスキルを証明するためにも資格を取得しておくことは良策です。

ここではテストエンジニアに役立つ資格を紹介していきます。


基本情報技術者試験

基本情報技術者試験はIT業界への登竜門としての位置づけとなっています。

国家試験ということもあり企業側の評価も高く、採用時に有利となるでしょう。


JSTQB認定テスト技術者資格

試験 PC 男 スーツ


JSTQB資格はテストエンジニアにとって必須の資格ともいえます。

この資格はIT業界全体のソフトウェアの安全性を維持するテスト技術を図るための認定テストです。

資格を所有することで知識と高いスキルを持つテストエンジニアの証明になり信頼を得ることもできるでしょう。


ソフトウェア品質技術者資格認定

ソフトウェア品質技術者資格試験は初級、中級、上級の3段階のレベルに分別されています。

自分のスキル、行っているタスク内容によって受けるレベルを選択するのがおすすめです。


IT検証技術者認定試験(IVEC)

こちらの資格もソフトウェア品質技術者資格試験と同様にエントリーレベル、ミドルレベル、ハイレベルと試験のレベルが分かれています。

テストエンジニアの業務内容ではエントリーレベルの受験になりますが、設計者やアナリストとキャリアを狙うのであれば徐々にレベルの高い資格を取得し段階を踏みながら知識を習得するのがおすすめです。

資格を取得すると自らの市場ステータスが上がるため現状の職場での雇用契約を有利に進められてより良い環境に行くこともできます。

資格を取得して自身のキャリアをアップを狙いましょう。


テストエンジニアに必要なスキル

テストエンジニアとして活躍するために必要なスキルは数多くありますが、ここでは特に抑えておくべき4つのスキルについて紹介していきます。


テスト技法スキル

虫眼鏡の下にあるエアバスSEの公式ウェブサイトのホームページ


テストエンジニアはただ動作確認やそれに付随する単純作業以外にシステムに応じた適切なテスト環境を構築して仕事をする必要があります。

そのためにはソフトウェアの基本やテスト技法に対する知識が欠かせません。

前述の資格を勉強するなどスキルの向上のために一度体系的にテスト技法について学ぶこともおすすめです。


作業量に対する集中と改善スキル

与えられたプロジェクトによっては行うテストケースが複雑で作業量も多くなる場合もあります。

割り当てられた工程でひたすらテストし続けなければならないため作業量に対して集中力を維持しなければいけません。

またスキルを向上させキャリアアップを狙うには行っているテストの改善を提案するなども問題解決スキルも必要です。


ソフトウェアに関連する開発スキル

ソフトウェアのテストを行うためには当然それに関する知識も必須です。

仕事の対象がどのような工程で開発されているかを知ることでどのような問題が起きるかを考察しやすくなります。

また開発に関する知識があることで改善策の提案もできるため他のテストエンジニアとの差別化も可能です。

さらにプログラミングの知識も持っていると問題を発見した際のコード修正も対応できるので、よりレベルの高いテストエンジニアとして重宝されるでしょう。


分かりやすい文章を作るスキル

想像を膨らませる男性


テストエンジニアがテストを行っていく作業の中で問題の根拠や解決に関する文章を残す必要があります。

チーム全体で共有したり進捗や仕事の成果報告したりするためにも分かりやすい文章を作成するスキルも重要です。


テストエンジニアのキャリアパス

世間一般的にIT業界ではテストエンジニアは単純な仕事であり、キャリアの浅いエンジニアが行うものという風潮でした。

そのためキャリアパスとしては単純作業だけではない独自性を持つテストエンジニアになるか、他の工程を担当するエンジニアになるかの選択肢があります。

ここではその選択肢を確認していきましょう。


専門職として独自性を出す



より専門知識に長けたテストエンジニアを目指すためには前述の資格を取得したり、よりテストエンジニアとして知識を得られるように勉強したりして高度な技術を身につける必要があります。

世間の企業はスキルが高く向上心のある人材を常に求めているため専門職として独自性を出すのは有効な手段です。


組織マネジメントを身につけ管理職として働く

プロジェクトの流れをチェックしながら全体の品質を確認する管理職として働くのもひとつの手段です。

自らテストを行うだけでなくチームをマネジメントしながら複数の案件を同時に回していく能力が求められます。


分析能力を磨いてテストアナリストになる

テストアナリストはテストの設計書を作成したり、テスト結果を分析したりします。

テストで不具合のあったソフトウェアの分析、対処方法なども請け負うのもテストアナリストの仕事です。

こちらも企業に重宝される人材となる可能性が高いといえます。


テストエンジニアは激務といわれる理由



テストエンジニアが激務といわれる理由は残業の多さがあげられます。

会社に雇われている場合は割り与えられたプロジェクトの仕事量が膨大であるなど物理的に激務になる可能性があるのです。

納期までのスケジュールが過密だったりスケジュールが残業前提として組まれていたり、そもそも人材が足りていないなどが原因になっています。

すでにフリーランスとして活躍している方ならプロジェクトに参加する前に確認すれば激務を回避できるでしょう。

しかし会社員として働いている方は残念ながら与えられたプロジェクトを断ることは現実的には難しいといえます。

体力的に仕事に耐えられないと感じたらより良い環境の職場に移動するか、フリーランスとして独立することを考えた方が賢明かもしれません。


テストエンジニアと自動化

AIコンセプトと手


ここ数年では作業の効率化や人件費の削減のためにテスト作業の自動化が幅広く行われています。

このような時代の流れもありテストエンジニアの仕事も減るのではないか、と不安に思う方も少なくないのではないでしょうか。

しかしテスト作業が自動化へ移行してもテストエンジニアの仕事がなくなることはありません

システムの多様化により要求されるレベルも高まっているのがその理由となります。

AIの発達により今まで人間が行っていた仕事が自動化したとしてもその技術を使いこなすエンジニアが必要です。

作業が自動化することでさらに効率よく仕事をすることができるようになるためそれを利用し、使いこなしていくことが重要になります。


フリーランスのテストエンジニアは稼げる?

フリーランスSE


前述の通り、会社員とフリーランスのテストエンジニアでは仕事の強度や収入面も大きく異なります。

フリーランスとして仕事を取る場合はその都度クライアントと契約を結ぶため案件ごとに報酬が変動しますが、この点をメリットととらえるかデメリットととらえるかは意見の分かれるところです。

実際にフリーランスのテストエンジニアは稼げるのでしょうか。

フリーランスのテストエンジニアの年収や需要を確認していきましょう。


年収の相場

目安としてテストエンジニアのフリーランス案件は50~80万円が相場、年収は500万円~600万円前後だといわれています。

一般的なサラリーマンより報酬自体は高いように思われますがこれはあくまで個人事業主としての売上です。

この売上から経費などを差し引いた金額が収入となります。

フリーランスのテストエンジニアの場合、固定費などの経費は交通費や通信費、周辺機器などが該当するため大きな事務所を構えて家賃などの負担が大きくならないよう注意が必要です。


フリーランスのテストエンジニアは今後も需要がある

スキルアップ


前述した通りAIの発達によりソフトウェアテストが自動化され、より効率化が進められています。

しかし全てにおいて自動化されるわけではありません。

プロジェクト工程の約3分の1を占めるといわれているテスト工程ですがこれまで多くの企業は外注割合が低い傾向でした。

しかし近年は作業の効率化により外注の割合が急上昇しています。

このようなことからフリーランスのテストエンジニア需要はますます伸びていくことが予想されるのです。


まとめ

虫眼鏡で覗く男性


テストエンジニアは単純作業と捉えられることもありますが、実際は製品の不具合やバグの確認など全体の工程の中でも大きな割合を占める重要な仕事です。

しかしただ仕事をこなせば良いというわけではなくプロジェクト全体を管理できるマネジメント能力、テストケースやテスト設計の改善を提案できる企画力など様々な能力が求められます。

スキルを磨くためにも資格を取得し知識を広げていくことがテストエンジニアとして活躍するためには必要です。

稼げるテストエンジニアになるには雇われて働く場合、フリーランスとして働く場合のどちらにしても独自性が大切になってきます。

これはテストエンジニアだけではなく、どの業種にも関わらずいえることです。

今後ますます業務の生産性が自動化により高まり業務が簡略化されていく中で、独自性を磨くのを怠ってしまえば仕事を失う危険性と隣り合わせになることを意味するともいえます。

常にスキルのアップデートを行って腕を磨き業務をこなしていくエンジニアが生き残っていけるのです。

自身の強みをPRする営業力、プロジェクトを円滑に回すコミュニケーション能力も他のエンジニアと差別化を図れる独自性となります。

オンリーワンのテストエンジニアとなりIT時代を生き抜いていきましょう。