退職を決めたらなるべく会社に迷惑がかからないように計画をたてて早めに取り組むことが円満退職の基本です。
日常行っている業務と並行して退職するための業務が加わるので、なるべく余裕をもって段取り良く行いたいものです。
今回は、退職前にやることのスケジュールについてと保険や年金・税金などの手続きをリスト形式にして解説いたします。

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はじめに
今の職場を退職しようと決めて取り組もうと思っていても、日々の業務に追われて何から手を付けたらいいか分からなくなりがちです。
気持ちよく円満退職で送り出してもらうためには、退職前にしっかりと準備して真摯に取り組んでいくことが大事になってきます。
そして退職すると、その後の生活がどのように変わってくるのかについても同時に説明していきます。
退職前後にやることをリストアップ
会社を辞めてしまえば今抱えている仕事からは解放されます。
ですが、退職後には保険や年金・税金についての確認と手続きなどやらなければならないことがたくさんあります。
退職を考えて行動に移す前に、まずは退職前後にやるべきことを事前にリストアップしておけばとてもスムーズです。
作成したリストをもとに、希望の退職日に向けてスケジュールを立てましょう。
退職前にやるべきことを考える
退職前にはまず、どのように退職の意思を伝えるのかということや仕事を辞めた後の転職先はどうするのかを考えます。
そして、仕事を辞めるにあたってその後の業務を受け持ってくれる方が必ずいるはずです。
その方への引き継ぎをしっかりしておくことが、円満退職をするためにはとても重要なこととなってきます。
引き継ぎを行うための書類を整理し、個人情報に関わるものや会社より貸与されていたものは返却しなければなりません。
また、今までお世話になった取引先へのご挨拶や担当者の変更についてしっかりとお伝えすることも大事なことです。
同じ業種で転職する場合はもちろんのこと、どこでまた出会うかは分かりません。
きちんとした対応をしておくことで、今までの業務に対する信頼を保つことができます。
退職後にやるべきことを考える
退職をした後にもやるべきことはたくさんあります。退職後は今まで使用していた保険証は使用できなくなります。
健康保険、年金や税金をどう支払えばいいのかについても考えなければなりません。
そして退職後、すぐに新しい業務に就く方やブランクを開けてから業務に就く方では、その後の手続きの方法も違ってきます。
揃えておかなければならない書類や手続き窓口についてはあらかじめ調べてまとめておきましょう。
それでは、それぞれの流れについて詳しく解説していきます。
まずは上司へ退職の意思を伝える
退職する上でのまず第一歩となる「退職の意思を伝える」ということはとても勇気のいることです。
しかし、上司にとっても業務の分担を考える上で伝えてもらうことでその後の仕事の目安が立てやすくなります。
退職日の決定
労働基準法としては退職希望日の2週間前には退職の意思表示をすることとなっています。
実際にはやるべきことを考えた上で、3か月前から短くても1か月半前までにはタイミングを見て退職希望の話をしましょう。
もし、就業規則内に退職の申し出についての記載がある場合は「就業規則を基準」に考えます。
その後、業務のスケジュールを見ながら引き継ぎ期間や有休消化の日数を計算し上司と一緒に退職日を決定します。
退職届の提出
退職の意思が受理されたら、「退職届」を記載し提出します。
自己都合による退職の場合は退職届を必ず会社に提出しなければなりません。
事前に退職の話を進め、交渉が済んだ後に直属の上司に提出します。
退職届と退職願の違いとは
退職届も退職願もいずれも退職の意思を表示したものという点では同じになります。
しかし、書類を出すタイミングでどちらにするのか考えて区別することが必要です。
「退職届」はすでに退職が認められた後に提出する場合、事務手続き上の理由での記録として書類を提出しなければなりません。
「退職願」はこれから退職したいという意思を伝える場合に提出します。
具体的にいつ労働契約を解除したいと強く申し出る場合などがこれにあたります。
そのため、トラブルなどはなく申し出た上での退職をする場合は「退職届」とすることが妥当です。
転職先を探すための転職活動を始める
退職の話が進んだら、その後の転職先を探します。
転職活動を始めてから、次の職場に入社するまでには大抵の方が3か月程の期間を要します。
それまでの間に、転職先を探して情報収集を行い「応募」と「面接」をこなしていかなければなりません。
4社・5社と受けても内定が決まらない場合もありますので、その場合の事も考えておかなければなりません。
在職中、退職後のいずれの場合にも、メリットとデメリットがあります。
退職後の場合
- 情報収集がしっかりできて、希望の職への転職活動に専念できる
- 通学や通信などで新たなスキルを身に着ける時間を持てる
転職活動への時間をしっかりと確保できるので、今までとは違う職種への転職にチャレンジをすることも可能です。
- 収入が途絶えるので、その間の生活資金の準備が必要
- 失業期間が長引くと、焦りやストレスとなってくる
- 退職後の手続き関係を全て自分でやらなければならない
失業期間が長くなってくるにつれて、金銭面や精神面での辛さが増して焦りが出てきます。
在職中の場合
- 失業期間がないので、収入が途絶えることがない
- 転職によって必要な手続きを転職先にやって貰える
退職後にすぐ、次の職場へ移ることができるので金銭的な心配がありません。
- 在職中の業務と並行となるので、転職活動に専念できない
- 急ぎの求人や応募先の理由によっては入社に不利となることがある
在職中の職場での引継ぎ業務などと並行することとなるので、充分検討する時間が持つことができません。
どちらを選んでも、転職を考えたら金銭面や時間に余裕を持って取り組むことが必要です。
事情は人それぞれですが、在職中のまま転職活動を始めるよりも「退職してからしっかりと目標を持って職場を探す」ほうが有利です。
失業となることに不安やリスクを感じる方も多いですが、失業保険の制度を利用することも考えて行動しましょう。
業務の引き継ぎと書類の返却
「立つ鳥跡を濁さず」と言われるように、立ち去る場所をしっかりと整理しておくことは大事なことです。
お互いが気持ちの良い状態にすることが、円満退職する上で大事になってきます。
取引先や日頃お世話になっている方への挨拶
いつまでで退社するのかという情報を挨拶回りをして、日頃お世話になっている方や取引先関係者などへお知らせします。
その際には、できる限り後任者も同行して事前に紹介をしておくと安心感や信頼感が違ってくるのでスムーズにいきます。
もし業務の都合で直接挨拶へ出向けない場合は「挨拶状」を出して、担当者の変更をお伝えしましょう。
また、後任者へは今までの自分の業務についてまとめた引継ぎ書類を作成して渡します。
同時に、引継ぎに使用しない必要のない書類は全て処分していきます。
この時に「誤って社内の書類を持ち出してしまっていた」ということがないように注意が必要です。
後任者向けに作成した引継ぎ書類には、一緒に業務に関係する方々の人柄や特徴などについても添えておくと親切です。
退職時に返却するもの・受け取るもの
退職時には、返却するものと受け取るものがあります。
これらが退職時に漏れていると、再び会社とやり取りしなければならないこととなります。
退職する時には必ず、全て漏れがないか事前に確認するように注意しましょう。
退社時に返却するもの
- 健康保険証被保険者証
- 名札・制服、身分証明書
- 会社の費用で購入した書類・書籍・備品類
- 通勤定期券
- 個人情報にあたる書類やデータ類
退社時に受け取るもの
- 離職票
- 源泉徴収票
- 年金手帳と雇用保険被保険者証 ※会社保管の場合
「退社時に受け取るもの」は、雇用保険の失業給付金の手続きの際や次の職場に提出する必要があるものです。
事前に担当者に確認を取っておき、必ず忘れずに受け取るようにしましょう。
ここまで、退職日までの流れに沿って退職に関する会社の手続きについて解説いたしました。
スケジュールを確認しながらしっかりと行うことで、気持ちよく退職することができます。
これからは、退職することで変わる保険や年金・税金について説明していきます。
退職後すぐに新しい会社で働く場合は必要ないことでも、転職活動をしばらく行う場合は全て自分で手続きをする必要があります。
必ず申請のための窓口や、手続きの方法について確認しておきましょう。
失業保険の給付手続き
退職後に転職活動が続いていれば、生活を支える大事な資金となるのが「失業給付金」です。
この手続きを必ずしておかなければ、収入の無い状態が続いてしまいます。
離職した理由によって、給付制限期間もあるので制度について理解しておかなければ生活資金が足りなくなってしまいます。
提出期間と給付までの流れとは
提出期間は「離職票を受け取り次第、できるだけ早めに」となっています。
また、失業保険の給付申請をするためには条件があります
- 現在失業状態であり、退職日までの2年間に雇用保険加入期間が通算12ヶ月以上あること
- 職業安定所(ハローワーク)に求職の申し込みを行っていること
以上の条件を満たしている必要があります。
また、失業給付金は解雇や倒産などの「会社都合」なのか転職などによる「自己都合」なのかによって給付額や給付までの期間に違いがあります。
更に、退職日までの直近6カ月間の賃金によって計算されます。
失業給付申請に必要な書類
申請時に必要な書類は以下の通りです。
- 雇用保険被保険者証
- 離職票1と2
- 身分証明書(運転免許証など)と印鑑
- 直近3カ月以内の証明写真2枚
- 失業保険金受け取り用の普通預金通帳(本人名義のもの)
これらの書類を揃えて給付の申請をします。
「自己都合」による退職の場合は、申請後「7日間の待機期間」が必要です。
その後2週間後に指定される日の説明会や認定日には必ずハローワークに出向きます。
給付認定を受けてからも「3か月の給付制限」があります。
実際に給付金が振り込まれるまでに「3か月半程の時間」を要するので注意が必要です。
健康保険の変更
まず、退職後に加入できる健康保険には3種類あります。
それぞれの保険について説明していきます。
任意継続被保険者保険
退職後も今まで使用していた健康保険を使用することが可能です。
条件として「被保険者であった期間が2か月以上あること」と「2年間を限度として加入すること」となっています。
- 健康保険任意継続被保険者資格取得申出書
- 1か月分の保険料
- 住民票
- 印鑑
申請の期間は「退職から20日以内」となっており、「会社か健康保険の組合」に必要書類を準備し申請します。
国民健康保険
国民健康保険は「退職日から14日以内」に「居住地のある市町村の窓口」に必要書類を持参して申請をします。
- 健康保険資格喪失証明書
- 各市町村で定められた届出書
- 身分証明書と印鑑
国民健康保険に加入した場合は、任意継続保険と違って「傷病手当給付金」の支給は無くなるので注意が必要です。
家族の扶養
親や配偶者の保険証に扶養家族として加入する方法もあります。
扶養家族として追加申請してもらうように、勤務先で手続きをしてもらいます。
- 被保険者と別性の場合は世帯全員の住民票
- 源泉徴収票
- 退職証明書または離職票の写し
- 失業保険や年金など受給しているものがある場合は、受領金額のわかるものの写し
扶養者の認定について制限がある場合もあるので、申請をする前に加入先に事前確認が必要です。
年金の変更
会社で務めていた時には「厚生年金」へ加入していましたが、退職とともに喪失します。
年金も自分で切り替えのための申請し、失業期間中も支払っていく必要があります。
国民年金の被保険者には第1号から第3号までありますが、退職後の加入は「第一号」か「第三号」となります。
第一号被保険者に切り替え
「退職後14日以内」に「市町村窓口」にて手続きを行います。
- 年金手帳
- 離職票または退職証明書
- 身分証明書と印鑑
通常はこの第一号被保険者へ切り替えをして、その後も国民年金を支払っていくようになります。
ですが、一定の条件を満たしている場合は第三号被保険者への切り替えも可能となります。
第三号被保険者に切り替え
申請期限はありませんが「できるだけ早め」に、「家族の勤務先の担当者」へ申請をします。
- 国民年金第3号被保険者該当届
- 被保険者と別性の場合は世帯全員の住民票
- 源泉徴収票
- 退職証明書または離職票の写し
- 失業保険や年金を受給しているものがある場合は、受領金額の分かるものの写し
家族の扶養として加入できる保険があって、「被保険者が第二号であること」と「退職者が年収130万円未満であること」という条件がつきます。
住民税の支払い手続き
「退職の月」や「退職後すぐに職につくのか」によって、対応の方法が変わってきます。
すぐに仕事に就く場合は、今までの通り給与から天引きされる「特別徴収」で新しい職場で手続きができます。
一旦転職活動のため失業期間がある場合は、退職する会社で「普通徴収」に切り替えます。
6月~12月に退職する場合
退職月までは給与から徴収され、その後は自分で納めるようになります。
その場合、退職する会社で「普通徴収」への切り替えの手続きをしてもらいます。
会社から退職後の住民税の納付方法について確認がない場合は、自分で申し出をしましょう。
1月~5月に退職する場合
前々年の住民税の5月分までを一括で給与から徴収されるようになります。
天引きされた月の給与が大幅に少なくなる場合があります。
また、退職する月によって天引きされる金額が違ってくるため事前に確認しておく必要があります。
まとめ
「円満退職」と「退職に関する手続き」をキーワードに解説しました。
退職から転職活動に新しい職場と続くと、体力とともに精神的にもとても消費するものです。
一連の流れと制度や、手続きの窓口について事前に把握してスムーズに活動を進めましょう。
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少しでもフリーランスにご興味がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。